悪魔 20 ページ21
「お友達ごっこしたいなら他所へ行け。
ここは…ヒーロー科だぞ。」
教卓から遠く離れた窓側の席に座る僕からはよく見えないが、あの人は寝袋に包んだままの突飛な格好で突然と現れた
「ハイ。静かになるまで8秒かかりました。
時間は有限、君たちは合理性に欠くね。」
鈍重な動きで寝袋から出ては、そんな訳の分からんことを口にし出すそいつ
先生というものは無条件に誰でもこうなのだろうか
そうなるとだいぶ僕の予想と異なるのだが……
「担任の相澤消太だ。よろしくね。」
「早速だが、体操服コレ来てグラウンドに出ろ。」
聞き逃しそうな程適当な自己紹介と共に、これまた唐突な命令を下される
この人が担任ですか…
段々と正しく認識してきたが、先生だからというわけではなく、合理性を追い求めるが故のこの粗暴さは、単純にこの人の素質なのだろう
教師皆がこんな合理主義者である筈がない
………そう願いたい
ガキ共がぞろぞろと教室から出ていく様を、頬杖をつきながらに見届ける
あまり集団行動が好きではないのですが…
人間に紛れ込むことすら初めての経験になるし、今後も慎重に行動する事が大前提であって、それを踏まえたうえで大人数での行動には毎度息を詰まらせる思いでいたが為に、成る可くは避けたい機会だった
数分も経たない内に人が半数と居なくなった教室に、そろそろ頃合いかと席を立つ
すると何処からか、息を呑んだような声が聞こえてきた
……ぶどう？
聴力を頼りに、声が聞こえた場所まで視線を落とす
その時点で自身の聴覚を妙だなと疑ったが、それを擁護するように目に付いたガキはあまりにも小さかった
「…歩くっ…！！ じゅう！はち！きん！！」
すると唖然とした顔で突っ立っていたそいつは、そんな突拍子も無いことを口にし出す
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作者名：もっちりパンダ | 作成日時：2024年3月18日 9時
