悪魔で、ヒーロー (ページ19)

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悪魔　18 ページ19

淡々とした口振り
でも同時に、ひっそりと追い詰めるような言い回しは、確かに返答を困らせた

持っている力を全て話すか
一部分だけ話すか
それとも何も答えないでいるか

『……履歴書のところに"血を操る個性"と書いたはずですが…』

考えた末、僕は一部分だけ話し、あくまで血を操る個性を主張した

悪魔の力を個性のせいにすれば、この先何かと楽かもしれない。

だが、それ以上にどういった個性かを説明する事が、今は億劫に思えた

この力であまり表沙汰にしてはいけない事を成している自覚はある

とはいえ何も答えないでいると追及されかねない。現状だけでも打破し、話を強制終了させたかったのが本音だ
つまるところ考えたというより感情を優先した

「…ふむ。深くは追求しない。だがその代わり、君にとっては答えにくいかもしれない質問を、いくつかあげていくよ。
君はそれに対し、YesかNoか。はたまた、どちらでもないを応えてくれてもいいんだ。」

チッ、人間のこういう探り合いは昔からどうにも癪に触る

「では早速……君の小学生時代の出身校は？」

「…君の現在の母校は？」

……元々記入していなかった情報をここにきて根掘り葉掘り探るつもりか
気分が悪いな

「…君の現住所は？」

「君のご両親は？」

『いくら質問しても、ないものは答えられませんよ…』

ひたすらに憂鬱だ

沈黙を貫き通すつもりでいたが、オレは痺れを切らし、全ての質問に強く口答えした

嘘はついてないのだから放っておいてほしいところだが、それが通用しない人間社会は本当に生き辛い

つぶらな瞳を鋭く睨み付ける。愛らしさなど微塵も感じなかった

脳を旋回する抑揚を抑えた声こわ使い
気分が悪いのはそのせいだ

「……わかった。では、あと2つ質問に答えてくれれば終了だ。君の個性は血を操る個性だとゆうが、翼を出していたね。
それは、どうゆうことだい？」

『……血を操る個性だが、モデルが悪魔だからですかね…』

「なるほど… では、最後の質問だ。」

「なぜ、ヒーローを目指すんだい？」

『…………』

さて、どう応えようか…
流石にヴィランの絶望した表情を見たいからと言うのは無理だろう…

『それが一番つまらなくなかったからですね。』

『人生は死ぬまで暇つぶしでしょう……』
僕が答えたきり静まり返った空間に、そんな控えめな声が虚しく響いた

「そうかい。出会い頭にたくさん質問して悪かったね…」

その後は入学するうえでの案内等を聞いて帰路についた