悪魔で、ヒーロー (ページ17)

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悪魔　16 ページ17

それは実技試験から一週間後のことだった

入試から約一週間後くらいに、雄英から合格か非合格かの通知が各家に送られるとの事だったが、なんせ僕は家が城、教えられる住所が無かったがために必然として結果を聞けていない

……というのを最近思い出し、暇を持て余していた今日此頃、それとなく軽い気持ちで足を運んでみたのだ

だが実際、来てみればどうだ

確か雄英は入試の時とは異なり、普段は生徒や教師等の限られた人間しか出入りする事が許されていない

それこそ事前に許可でも取っていなければ不可能だ

まあ裏を返せば、事前に許可さえ取っていれば心置きなく出入りする事が許されるのだろうが………

もちろんそんな面倒な事はしていない

そんな訳で、どうしたものかと
相変わらず巨大な校舎を見上げた振りして上の空でいると、その校舎から出てきた人一人の気配と共に声が聞こえてきた

「ったく…誰かと思えば……」

仰向いた顔を前に戻すと、以前のオレみたく長身且つ、億劫なのであろう気分を隠そうともしない小汚い男が近寄って来ていた

その男はやれやれと、物憂げな眼差しで軽く頭を掻きながら僕の目の前で止まり、口を開く

「ルシファー・ネフィリアム……だったか。」

──ルシファー・ネフィリアム…。

………そういやそんな名前を名乗ったっけか。すっかり忘れていた。…───が、それは俺の中で確かな"戒め"として刻んだものだった。

俺は"悪魔"だ。

この世に存在する生物の殆どが雌雄で両分されているように、人間と悪魔とで、そこには大きな亀裂が存在している

ただ悪魔という種族が、俺一人しか存在しない────死が身近なものではないこの異世界では、どうしてか時折、厄災同然な悪魔という存在を忘れがちになる

自分でも軽視したのだ

『……あぁ…、はい。』

だから僕は、自身がどう転んだとて結局は厄災悪魔なのだと、"それ"を肯定し続けなければならない事を、己に自重し誓った