悪魔で、ヒーロー (ページ11)

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悪魔　10 ページ11

──…そんなこんなで試験説明が終わり、「Puls Ultra更に向こうへ！！」と言うらしい校訓と共に見送られ、用意されたバスに乗り辿り着いた先は、振り分けられた演習会場D

外見からして個性的な受験者たちに紛れ、これまた予想外の巨大さを誇る演習会場に、天を仰ぎ見ては、この世界では何でも有りだなと、現実味や臨場感の無さから、故の軽い現実逃避的なものに走っていた

だからか尚更、緊張なんてものは微塵も感じない
元々杞憂な性格でもなかったのだがな

周りの余裕ゆとり多い様子からしても、オレのこの起伏の無さは何もおかしくはないのだろう

「ハイスタートー！」

前触れのないそんな大声が耳に届けば、身体は脳が理解するよりも先に動いていた

受験者達の間を潜り抜けては、扉の向こうに体を滑り込ませ、素早く翼を出すと空高く飛んでいき、一旦投げうっていた思考を再開させる

目先のこの試験とやらをどう切り抜けようかと考えを巡らせた

使い魔達は出さずに、悪魔の暴発的に発揮される身体能力と血を操る力で動く予定だが、何れにせよ制御が困難となると、そんな単純な手段さえ捗々しくいかない可能性がある

力を使いすぎると目立つからな

上手くいくといいんだがな…

『手加減するのも難しいな…』

……──ふと、模擬市街地に入ってからというもの、人の気配が全く無いことに気づいた

それどころか、どんどん離れていくような気が………もしやタイミングを間違えたか？

「どうしたあ！？
実践じゃカウントなんざねえんだよ！！走れ走れぇ！！」

「賽は投げられてんぞ！！？」

その一抹の不安も、矢張り杞憂となって消え去った