一話 ページ2
『おい!!』
「あぁ、おはよう。A」
ある日の朝
学校へ行くためにブレザーに身を包んだ俺はずかずかと音を立て階段をおりる
ダイニングへ入るとソコには今は家を出て居ないはずの兄が座っていた
スラッと伸びる背筋にくるくると細くやわこそうな髪。つんとつり上がった切れ長な目は奥まで見えそうな程に澄んでいる
俺はこいつが嫌いだった
『なんでお前がいんだよ!』
「なんでと言われても、ここは私の実家ですし、たまには良心に顔を見せなくては行けませんし…もちろん、Aにも会いたかったですよ」
『っ〜〜!!!
そのきっしょい喋り方やめろまじでムカつく。母さん俺飯いらねぇ!!行ってきます!!!!』
台所の方から母親の驚いたような声が聞こえてきたがそれには構わず玄関へ向かう
その後ろを着いてくる音がひとつ
『なんっで着いてくんだよ!!!』
「行ってきます、って言いたくて…」
『絶対言うなお前の言葉とかまじでいらねぇ』
「…そう、ですか」
兄は少しだけ眉を下げ笑ってから、「頑張って」と一言残しダイニングの方へ戻って行った
『……くそ』
昔から、兄が嫌いだった
俺が生まれた時、兄は9歳で、既に世間からは「よくできる子」というレッテルを貼られていた
その割にカードゲームや虫取りなどいかにも普通の少年が好みそうなものに目を輝かせ、それがまた大人たちを喜ばせた
そんな兄を持った俺は、当然兄とおなじものを求められた
1と0がふたつ並ぶテスト用紙
5で埋まる成績表
生活態度を褒める教師の言葉
周りの人間への明るい態度
兄を想う心
全てが窮屈だった
親も教師も、周りの人間は皆口を揃えて「Aくんもハヤトくんと同じでよくできる子だね」と言う
けど、俺とあいつとは違う
あいつが勉強をしている所なんて俺は見た事がない
いつもレアカードがなんとかかんとか、友達と騒ぐばかりでその癖テスト期間には何食わぬ顔で「まぁある程度は出来た」なんてぬかすのだ
俺はカードゲームにも虫取りにも興味がなかった
毎日兄には劣りたくないという気持ちだけをエネルギーに勉強を続けた
そんな俺が、唯一興味をもてたのは音楽だった
ありとあらゆるレコード、CDを聞き漁り、自分で作曲もした
ネットで「天才」と騒がれる程度には、俺の音楽は認められている
それも、兄は簡単に奪ったのだ
「加賀美ハヤトオリジナル楽曲配信解禁」
吐き気がした
絶対に、
『…ぶっ潰してやる』
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はちみつ - めっっっちゃ好きです...更新頑張ってください!! (2022年5月19日 21時) (レス) id: f3409df279 (このIDを非表示/違反報告)
しろ - 作品の続きむっちゃ気になります!ルールとか難しいと思いますが、頑張ってください。更新楽しみに待ってます (2022年5月14日 23時) (レス) id: 93afb517a4 (このIDを非表示/違反報告)
みかんゼリー(プロフ) - 、、荒れてるかもしれませんけど題名に名前など入れるのであれば「kgm」と入れてください。会社名まるまる入れるのはおやめてください。あとはタグは2j3jだけでいいと思います。それが出来ないのであればROMれ (2022年5月14日 20時) (レス) id: ba5473ccef (このIDを非表示/違反報告)
早とちりではない - すみません、また誤字してしまいました。↓ (2022年5月12日 14時) (レス) id: d625329b89 (このIDを非表示/違反報告)
早とちりではない - 運営さんいしてみれば、コメントに注意するよりも違反報告して欲しいそうです (2022年5月12日 14時) (レス) id: d625329b89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こむすび | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/
作成日時:2022年5月11日 15時