第12話 恥じらいのティーカップ／もちまる。 ページ12
「光が可愛い、って話です」
野坂さんとの会話には、まだまだ慣れるはずもない。
だけどどうにかして、一言くらいは話がしたい。
そんな困った矛盾を抱えた私は、それを誤魔化すようにティーカップを取って温かい紅茶を口に含んだ。
「へぇ、なるほどね」
紅茶なんて飲んだのは、一体いつぶりだっただろうか。その味はすんなりと舌に溶けて、茶葉の香りがスッと鼻に抜けていく。
これと甘いショートケーキだなんて、なんだかソワソワしてしまうほど上品で贅沢で、「大人」な時間だ。
「ま、僕からすればAちゃんも凄く可愛いけど」
「……えっ」
単調な相槌を聞き流した途端、思いもよらないことを唐突に言われてティーカップを持ったまま小指が跳ねる。
その振動で跳ねた小さな滴が、また液面へと戻って波紋を作っていた。
「あ……やめてください、そういう…子供扱い、みたいな」
言葉に詰まりながら、精一杯の照れ隠し。
だけど多分、これは全然隠せていない。
「あはは、紅茶が熱かった？」
ほら、やっぱり。
頬から耳の先まで及ぶ、内側から熱を発するかのようなこの感覚は、野坂さんどころか他の二人にもバレバレだろう。
「……はい。熱かったです」
ここまで言って、ハッとする。
紅茶が熱くて赤面する方が、なんだかよっぽど子供みたいだ。だけど今更撤回したところで、他に言い訳なんて思いつかない。
野坂さんはやっぱり、イジワルだ。
「そういえばここのマンション、どう？結構綺麗なとこでしょ」
「はい！駅からも近いし大学にも行きやすいし…何より頼れる先輩が二人もいるので、今日からの生活が楽しみです！」
____そう、“ 今日からの ”生活。
今この時まで、それを極力考えないようにしてきた。頭の中がグルグルになって、何にも手が付かなくなるからだ。
だけどその“ 今日 ”は、こんなにも平然とやってきた。
「そう？それはよかった。Aちゃんは？」
ただでさえその事実に頭も心も追い付いてはいないのに、彼はまたもや私に突然話を振った。
頬張ったケーキの甘さを最後まで味わう前に、思わずゴクリとそれを飲み込んでしまう。
私の心臓がビクリ、と跳ねる何よりの原因は、いきなり感想を求められることでも突然話しかけられることでもなく、ただ彼の声が私の名前を呼んでいるということだった。
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もちまる。(プロフ) - ふるる。さん» こんばんは、遅くなってすみません！コメントいつもありがとうございます！ふるる。さんも小説更新お疲れ様です。夏祭りに行く短編集、ニヤニヤしながら読ませて頂きました笑 これからもお互い頑張っていきましょ〜！ (2020年7月27日 23時) (
レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
三峰 契(プロフ) - ふるる。さん» 初めまして、三峰です。コメントありがとうございます！余裕があってちょっとお茶目で、だけど大人で……！これからもそんなかっこいい野坂さんをお届けできるように2人で頑張ります！これからも是非よろしくお願いいたします(∩´∀｀)∩ (2020年7月23日 22時) (レス) id: be32126b2e (このIDを非表示/違反報告)
ふるる。(プロフ) - こんにちは！ふるる。と申します！野坂君がかっこよくて感動しました！私ももちまる。さんや三峰 契さんみたいな小説を作れるように頑張ります！これからも頑張ってください！本当にお二人の小説は最高です！ (2020年7月22日 16時) (レス) id: 28f80b2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
三峰 契(プロフ) - 水の犬。さん» はじめまして、コメントありがとうございます！2人で仲良く力を合わせて、素敵な作品にしていけるようにと頑張っております(∩´∀｀)∩2人で考えたこだわりのエピソードもどんどんと増えていくので、これからよろしくお願いいたします！ (2020年6月28日 20時) (レス) id: be32126b2e (このIDを非表示/違反報告)
もちまる。(プロフ) - 水の犬。さん» こんばんは！またコメントして頂きありがとうございます！水の犬。さんの日替わりも毎日楽しく見させて頂いております(*^^*)今日は風丸さんに癒してもらいました笑 これからも2人でバリバリ頑張って参りますので、是非よろしくお願いします…！ (2020年6月28日 20時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちまる。／三峰 契 x他1人 | 作成日時：2020年6月14日 9時
