第1話 画面上の想い人／もちまる。 ページ1
2月、まだまだ冷える今日この頃。
推薦入試を12月に終えた私は、今日も暇を持て余している。
一秒の隙も惜しんで机に向かっていた日々が、今ではなんだか幻のようだ。
『Aと同じとこ、受かったよ！春からまたよろしく』
暇の象徴である昼間のベッドの上で、枕元の携帯が通知音を鳴らした。
受信したのはそんなメッセージだ。
「あ…そうなんだ」
栞を挟んでから徐に本を閉じ、携帯に手を伸ばす。朝からコードに繋がれっぱなしの携帯は、未だに充電100%だ。
『おめでとう、よろしくね』
そう無難な返事をしてから、私はまた本を開いた。好きな作家の小説だ。
だけどそれを二行も読み進めないうちに、携帯が再びピロリン、と軽快な音を鳴らす。
きっとまた彼だろう。王帝月ノ宮中にほぼ同時期に編入した、「仲良しな蒼色の彼」だ。
『今度、来る？』
すっかり気を許している彼だけれど、そのたった一言で、私は思わず枕に顔を埋めてしまう。
開きっぱなしにして手放した本は、ベッドの弾みで呆気なくパタリと閉じる。あぁ、栞を挟んでいないじゃないか。もうどうだっていいや。今はそんなことを気にしている場合ではない。
「……うぅうう」
次いで心臓の上、喉の下あたりをぎゅっと掴まれたかのような感覚が私を襲った。
いつまで経っても消えない感覚。今までに何十回、何百回として襲われたのに未だに慣れない、妙な感覚だ。
『光は？』
別に、こんなことをわざわざ聞く必要はない。どうせ来るに決まっている。
だけどこの冷静になれない感情を彼に悟られまいと、とりあえずそう聞き返した。
『行くよ。Aが来たら野坂さん喜ぶんじゃない？』
「…んな…！」
画面上の吹き出しの中にハッキリと映し出されたゴシック体の4文字に、私の足はとうとう勝手にジタバタと動き始めた。
ダンダン、と音を鳴らすベッドのバネ。今日ばっかりは、余計な負担をかけてしまうことを許してほしい。
『行くけど…』
『けど？』
『野坂さんとちゃんと喋れるか分かんない』
『うーん、大丈夫だよ』
彼は一体、何をもって「大丈夫」などと言っているのだろう。
一週間も前から続く私の緊張や不安を知れば、誰も呑気にそんなことを言えないはずだ。
『大丈夫じゃないって』
『中学の時と、何も変わらないでしょ』
そんな無責任な彼の言葉に私はとうとう呆れ果て、その後は雑なメッセージを一つだけ返しておいた。
『そうだね』
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もちまる。(プロフ) - ふるる。さん» こんばんは、遅くなってすみません！コメントいつもありがとうございます！ふるる。さんも小説更新お疲れ様です。夏祭りに行く短編集、ニヤニヤしながら読ませて頂きました笑 これからもお互い頑張っていきましょ〜！ (2020年7月27日 23時) (
レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
三峰 契(プロフ) - ふるる。さん» 初めまして、三峰です。コメントありがとうございます！余裕があってちょっとお茶目で、だけど大人で……！これからもそんなかっこいい野坂さんをお届けできるように2人で頑張ります！これからも是非よろしくお願いいたします(∩´∀｀)∩ (2020年7月23日 22時) (レス) id: be32126b2e (このIDを非表示/違反報告)
ふるる。(プロフ) - こんにちは！ふるる。と申します！野坂君がかっこよくて感動しました！私ももちまる。さんや三峰 契さんみたいな小説を作れるように頑張ります！これからも頑張ってください！本当にお二人の小説は最高です！ (2020年7月22日 16時) (レス) id: 28f80b2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
三峰 契(プロフ) - 水の犬。さん» はじめまして、コメントありがとうございます！2人で仲良く力を合わせて、素敵な作品にしていけるようにと頑張っております(∩´∀｀)∩2人で考えたこだわりのエピソードもどんどんと増えていくので、これからよろしくお願いいたします！ (2020年6月28日 20時) (レス) id: be32126b2e (このIDを非表示/違反報告)
もちまる。(プロフ) - 水の犬。さん» こんばんは！またコメントして頂きありがとうございます！水の犬。さんの日替わりも毎日楽しく見させて頂いております(*^^*)今日は風丸さんに癒してもらいました笑 これからも2人でバリバリ頑張って参りますので、是非よろしくお願いします…！ (2020年6月28日 20時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちまる。／三峰 契 x他1人 | 作成日時：2020年6月14日 9時
