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一方、花宮の方はというと狗巻のそんな優しさには気づいていた。
明らかに禪院との対応が違うからだ。
自分に対してかなり気を遣ってくれる狗巻に、花宮は"申し訳ないな"と良心を痛めていた。
先程も少し顔が近くなってしまっただけで、すごく申し訳なさそうに謝ってくる狗巻に、花宮はどうすれば"大丈夫"であることが伝わるのか必死に考えていた。
「…あっ、この店舗がいちばん近いみたい。ここにしよっか」
「しゃけ」
狗巻はとにかく優しい。
さりげなく車道側を歩いたり、花宮の歩幅に合わせたり、電車内では花宮が他の乗客となるべく接触しないように壁替わりになったりもした。
そんな狗巻の優しさに触れ、花宮は少しだけキュッと胸が締めつけられるが、それが何なのかは全くわかっていない。
電車を降りた2人は、目的地へ向かって再び歩き始める。
そこで花宮は思ったままに狗巻に告げた。
「棘くん、優しいね」
"ありがとう"、と狗巻に笑ってみせる。
狗巻は、さりげなくやっていたつもりが、花宮にはバレてしまっていたようで恥ずかしいと思いつつも、ふわりと笑ってくれた花宮にまた一つ想いを募らせながら自身も微笑みを返した。
「あ、みてみて!」
不意に目に入った店を指差す花宮。
そこには少し大きめのパンダのぬいぐるみが並んでいた。
サイズ感にして、某ポケットに入るモンスターの電気ねずみくらいである。
「私、恵くんが入ってきた時にもプレゼントあげたんだけど、その時は手作りのクッキーと一緒にパンダのぬいぐるみもあげたの!
だから新しく入る2人にもパンダのぬいぐるみあげようかなって!」
"ちょっと寄ってもいい?"と聞いてくる花宮、「しゃけ」と返す狗巻。
涼しい顔をしているが、自分の知らないところで手作りのクッキーを貰っていた伏黒に対して妬ましい気持ちを抱えていた。
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棘かえせ
伏黒何をですか
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作者名:もち明太 | 作成日時:2021年1月30日 3時