. ページ12
.
「やべぇな。おい、行くぞ棘」
「…しゃけ」
時間が時間な為、教室に向かわなくてはならないがまだ花宮が心配な狗巻。
少し名残惜しそうに立ち上がる。
それに気付いた花宮は柔らかく微笑み返す。
「棘くん心配してくれてありがとう。
でも、熱も38℃超えてないし、ちょっとしんどいだけだから大丈夫だよ」
"パンダくんが寂しがっちゃうから行ってあげて?"と、どこまでも優しい花宮。
学校が終わったら絶対見舞いに来ようと狗巻は決意した。
.
.
.
__ガラガラ、
「お?真希と棘が一緒に来るなんて珍しいじゃん。浮気か?棘」
「 お か か ! 」
「馬鹿言ってんじゃねーよパンダ」
チャイムが鳴る少し前に教室に着いた二人。
いつもは花宮と禪院が一緒に教室に入ってくるが、今日は花宮の代わりに狗巻が隣に立っていることに首を傾げるパンダ。
「Aは?」
「風邪だとよ」
「あれま、それは心配だな」
パンダは、"呪骸だからそういうのはわからんが"と付け足す。
「学校終わったらみんなで見舞いでも行くか?」
「私と棘はいいとして、お前は臭いから駄目だ」
「臭くない」
「いくら」
「臭くない」
今日も朝からファブって来たと主張するパンダ。
話の方向が完全にパンダ弄りへとズレてしまっている。
「Aは俺のこと臭くないって言った」
「おかか」
「いや言ってたし
Aにギュッてされちゃったもんね〜」
「…………」
「ごめんって」
ジトリ、とパンダを見つめる狗巻。
あまりに憎しみが篭っていたので即座に謝るパンダ。
こういう憎しみから呪いが生まれたらたまったもんじゃない。
「……まあ、アイツもパンダのこと好きだし、しょうがねーから入れてやるよ」
「おかか」
「安心しろ、そういう"好き"じゃねぇ」
「ごめんな棘。俺とAは両想いなんだわ」
「…………」
「ごめん」
ジーーーッとゆっくり口元のチャックを下ろす狗巻に、パンダはまたもや即座に謝る。
花宮がいない時は大体こんな感じである。
3704人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もち明太 | 作成日時:2021年1月30日 3時