鬼が出るか仏が出るか1 ページ28
宏太side
1秒先の未来に何が起こるかなんて、誰にも分からないんだ……
明日が今日にならない未来が来る人は沢山いるんだ…
慧が寝ているからか…口を開いても明るい言葉が出てこないからか…
しんと静まる病室。
ピッピッと慧に繋がった機械がその空間の音を独り占めにした。
そんな妙に静かな病室に似合わない、勢いよくドアが開く音がして、みんながそちらを向いた。
「ちょうど良い…みんないるな……」
大貴「せんせ……?」
「大事な話がある、眠れているところ悪いけど慧も起こそう…時間がないんだ」
大事な話と言いながら、亀梨先生はいつもと変わらない口調。先生として話すときはいつもは口調が変わるのに……
それは慌てているから??
光が慧に声をかければ、うっすらと目を開けてくれた。
「ごめんな、慧…そのままでいい。よく聞いて」
慧の手を光がそっと握るのを見て、俺は不安そうな大貴の肩を寄せた。
「ついさっき、移植実施施設の方から連絡があったんだよ……」
先生の言葉にスッと息を飲む……
移植実施施設…?
「ドナーが見つかった…」
………自分の心臓がうるさい…
ドナー?
ドナーが見つかったって…?
俺たちの頭の整理が追いつかない中で、先生が続ける。
「…でも、手術を希望するにしてもリスクを負うことになる。まず、慧の場合は手術に耐える体力がギリギリなんだ…肝臓の機能も落ちているから、手術が成功したとしても麻酔から目が覚めないかもしれない……」
何か重いもので頭をぶっ叩かれた感覚。
………そりゃそうだ。少し考えればそんなこと容易に予想できるじゃん……
ドナーが見つかれば、慧は助かるなんて甘い考えだったんだ………
「40分以内に返事をしなければ、次の候補の患者さんに話がまわるんだ…」
.
.
.
もともと移植にそこまで前向きではなかった慧。
それでも生きたいと望み、ここまで命を繋いだ。
…………いいよ…
きっと俺らは同じことを考えている。
慧の思いを尊重するから…
丸投げしてるわけじゃない…
俺たちはみんな慧に生きて欲しいと望んでるよ…
光「慧……?」
光の声に、ベッドの上の慧に目を向ければ、その綺麗な瞳からツーっと涙が流れた。
”生きてたい”
掠れた小さな声だったけど、確かに慧はそう言った。
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おこめ(プロフ) - 登録してないと返信ができないと思ったので登録してきました!パスワードよろしくお願いします✨ (2022年2月16日 10時) (レス) @page32 id: 2cdf5bced4 (このIDを非表示/違反報告)
おこめ - とても面白くて、一気に読みました!傘をください。の作品も読みたいのでパスワード教えて頂きたいです!高校生でこれだけの小説が書けるのすごいですね✨ (2022年2月16日 10時) (レス) @page33 id: 2cdf5bced4 (このIDを非表示/違反報告)
ぷく顔信者(プロフ) - とても素敵な作品で、一気に読んでしまいました!他の作品のパスワードを教えて頂きたいです! (2021年1月6日 16時) (レス) id: 15fc97a926 (このIDを非表示/違反報告)
新道踏切(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました!他の作品のパスワードを教えて頂きたいです(●´▽`●) (2021年1月2日 7時) (レス) id: 7158c48a17 (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - 素晴らしい作品で感動しました!他の作品のパスワード教えていただきたいです!! (2020年12月7日 18時) (レス) id: b50ea3e725 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふぶき | 作成日時:2016年7月27日 22時