あおいろ4

何も出来ない1 ページ25

光side

「光、じゃーな」

光「おー」

クラスメイトとは、しばしの別れ。

吐く息が白くなる季節…

終業式を終えてもう冬休みだ。

チェックのマフラーを首に回して、通い慣れてしまった道を歩いて、慧の元へ…

余命宣告されてから、3ヶ月と20日ほどが過ぎていた。

慧は生きている。

………生きている。

光「慧、来たよ」

ベッドに横になり、真っ直ぐ天井を見つめて、ただゆっくりと呼吸をする…

ここ最近は、いつ行ってもそんな状態だ。

どんどん弱っていくのが目に見えてわかる。

俺が声をかければ、少しだけ首を動かして力なく微笑む。

光「もう冬休みなんだ。明日からは面会時間はずっといるからね」

軽く髪をすくように撫でれば、また柔らかく笑ってくれた。

余命宣告から3ヶ月を過ぎた頃かな…慧はほとんど喋らなくなった…

喋れなくなった。

発声の機能はちゃんとあるものの、気力がなく、体力的にもお喋りを楽しむなんて事は出来なくなった。

…………慧の声が聞きたい…なんて俺の贅沢。

いいよ………

生きようとしてくれていれば……充分だから………
.


.


.

窓の外ではすっかり茶色くなった葉が、木からハラハラと落ちていって……

心地よいはずの病院の室温は、俺には少し寒かった。

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