大切すぎて10 ページ17
慧side
……何も言わないで、ただただ優しい手つきで撫でてくれる宏太。
布団をかぶっているせいで、どんな表情をしているのかわからない…
謎の緊張感があって、寝ているのがバレないようになるべくゆっくり呼吸を繰り返した。
消灯時間が近づく病棟は、何とも言えない静けさに包まれていて、宏太の小さなため息がやけに耳につく。
宏太「……ごめんな…」
そう呟いた宏太の声が震えていて…
宏太「………分かるわけねぇよ……お前の気持ちが分かるなんて簡単に言ったら失礼だと思う……だから教えてよ……っっ……」
何でそんなこと言うの……せっかく止まってたのに、再び涙が出てくる。
無意識に鼻をすすれば、それまでヨシヨシと撫でてくれていた宏太の手が、赤ちゃんをあやすようにポンポンと布団の上で動いた。
俺が起きてる事に宏太はきっともう気がついている…
テンポよく呼吸することをやめた俺に、何も知らないふりをしてくれる宏太。
それをいい事に俺は狸寝入りを続ける。
宏太「……俺もお前もずるいな…」
ふふっと笑って、宏太は独り言のように話す。
誰も聞いていない。誰も喋っていない。
そんな事ないのに、2人して頭の中で新しい空間を作り出して入り込んだ。
慧「……教えない」
誰も喋っていないよ…だから宏太の手の動きが乱れる事もない。
慧「……宏太なら分かるでしょ…分かってよ…」
宏太「……んな無茶な…」
慧「…宏太が創作しても許してあげる」
宏太「…それもう分かってねぇじゃん」
個人の空間には2人分のふふふって笑う声。
………何だよ…こんなあっさり戻れるじゃん。
慧「………俺も…ごめんなさい…」
宏太「…ん」
いつの間にか、ポンポンと動いていた宏太の手は俺の髪をふわふわと撫でていて…
少し布団をずらして見上げれば、少しだけ目を赤くした宏太とパチリと視線が交わる。
優しく微笑む宏太。
何だか照れくさくなってまた布団を被った。
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おこめ(プロフ) - 登録してないと返信ができないと思ったので登録してきました!パスワードよろしくお願いします✨ (2022年2月16日 10時) (レス) @page32 id: 2cdf5bced4 (このIDを非表示/違反報告)
おこめ - とても面白くて、一気に読みました!傘をください。の作品も読みたいのでパスワード教えて頂きたいです!高校生でこれだけの小説が書けるのすごいですね✨ (2022年2月16日 10時) (レス) @page33 id: 2cdf5bced4 (このIDを非表示/違反報告)
ぷく顔信者(プロフ) - とても素敵な作品で、一気に読んでしまいました!他の作品のパスワードを教えて頂きたいです! (2021年1月6日 16時) (レス) id: 15fc97a926 (このIDを非表示/違反報告)
新道踏切(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました!他の作品のパスワードを教えて頂きたいです(●´▽`●) (2021年1月2日 7時) (レス) id: 7158c48a17 (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - 素晴らしい作品で感動しました!他の作品のパスワード教えていただきたいです!! (2020年12月7日 18時) (レス) id: b50ea3e725 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふぶき | 作成日時:2016年7月27日 22時