あおいろ4

大切すぎて8 ページ15

慧side

「よし、取れたよ。大丈夫だね」

慧「ん、ありがと」

先生はまたご飯を食べられなかった俺の為に、栄養剤の点滴を打ってくれた。

いつまで点滴で誤魔化せるのかな……

胃瘻の話が出ていないわけではないから、それなりに覚悟はしてるけど、手術は怖いし、出来ることならつけたくない…

ただ、食べられないのは事実で……

食べないんじゃない。食べられないんだ。

夕飯のとき、自分でもこのままじゃダメだなって思って、ゆるいおかゆを口に運んだけど、むせてしまってそのまま戻した。

………心因性の嚥下障害かもしれないって言われたんだけど、そんな風に言われたって自分じゃ原因わかんねぇし…

慧「…はぁ……」

ひとりぼっちの病室に、ため息はよく似合うな…

リクライニングを戻してベッドに沈み込み、静かな病室に小さな音を響かせる時計に目をやる。

うるせぇよ…

時間を気にすると、意識が時計にいくから、よりうるさく感じるんだろうな…

慧「……過ぎちゃうよ？」

面会時間…

宏太来るって…大ちゃん言ってたのに……

やっぱり来ないのかな…

寂しさを隠すように目を閉じて、ゆっくり呼吸をしてみるけど、なかなか眠れなくて…

そんな事をしているうちに面会終了を知らせる音楽が聞こえてきた。

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