あおいろ4

大切すぎて5 ページ12

慧side

スヤスヤと眠る大ちゃんのあどけない顔に安心感を覚える。
居てくれるだけでこんなに心強いなんてね…

慧「………宏太」

怒ったかな……呆れたかな……傷つけたかな……

全くもって思ってもないこと！……ってわけではないけど…

あんな事言いたかったんじゃない…

宏太の顔は一度も見れなかった。怖かった。
俺……強くないもん………

抱きしめてほしかったのかもしれない…

でも、きっと俺はそうされたら拒んだだろうな。
自分自身がよくわからない…何を求めてるの？

……明日来てくれるかな…

来て…欲しいな……

でも、何て言えばいいのかな……
分からないや。

嫌われ…てはないよね……宏太はそんなやつじゃないもん……

明日も……きっと来てくれる………はず……

いや、これは俺の都合のいい考えだ。

……もうすぐ朝と呼べる時間になるというのに、俺の頭の中は真っ暗で…

どんどん悪い方に向かう…

怖くなって、また布団に潜り込んだ。

少しだけだけど、守られてる気がして……

カチカチとなる時計の音を数えて、気を紛らわす。

でもすぐに…

大貴「けーい」

ポンポンと布団の上から温もりが伝わる…

慧「大ちゃっ….」

何で…寝てたじゃんかよ……

大貴「よしよし…」

慧「……っっ…」

止めてよ……我慢してたのに……

そんな優しくされたら泣いちゃうじゃんか…

大貴「大丈夫だよ。絶対大丈夫。みんな少しお互いを大事にしすぎちゃったね……」

慧「………大ちゃん…」

柔らかい声に誘われてちらりと顔を出せば、

大貴「お、出てきた出てきた」

大ちゃんはニヤニヤ。

慧「俺……宏太……っ……宏太、明日来てくれるかな？…俺…謝らないと…」

大貴「ん、絶対来るからね、大丈夫だよ」

慧「………ん」

大貴「よしよし。…あーあー…慧が可愛すぎて部活行きたくないーサボっちゃおうかなー」

え…大ちゃん今日部活なの？

…それなのに、居てくれたんだ……

慧「……だめ。今からでも寝て…部活行きなさい」

大貴「ふふ、分かりましたー。でも午後からだからね。慧が寝るまで手繋いでてあげる」

慧「ん、ありがとね」

大人しく大ちゃんの手に繋がれて、目を閉じる。

……ちゃんと分かるよ。

大ちゃんは本当にすごいよ…

俺のちっぽけな兄としてのプライドも守っちゃうんだもんね……

大切すぎて6→←大切すぎて4

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す