あおいろ

一人の恐怖4 ページ29

大貴side


ころがる薬のなかに、ニトロがまざってる…



使ってるってことは…発作があったんだってわかる。



慧「………大ちゃっ…」



今にも泣きそうで、震える手をこちらに伸ばしてくる慧。



大貴「…ごめんね？慧…一人で怖かったよね…」



手を握ってやると、ずいぶん冷えていた。




慧「……ごめんね…大ちゃん……学校…」



小さい声が弱々しくて、苦しくなる…



大貴「気にしないでよ….慧の方が大事なの…」



慧「……ごめ…」


グデっとした体を支えて、父さんたちの部屋に行こうとすると…



慧「……大ちゃん…部屋がいい……」


今の慧を支えてはいるものの、階段を上らせるのはきつそう…



大貴「…でも」



慧「…………部屋がいいの…」



…………俺は慧に甘い。



弱った慧にはさらに甘い。



大貴「ゆっくりね？」



ベッドに横にしてやると、ポツポツ慧が話し始める。



慧「……俺……発作久しぶりで…治ったけど…また発作が起きたらって思うとね…一人で怖くて………ごめん…大ちゃん………」



途切れ途切れ、ゆっくり話してくれる。



大貴「気にしないでってら言ったでしょ？怖かったよね……ごめんね………」



弱気の慧には、いつもの口の悪さとツンケンした態度はなく、細い身体とその弱気な感じが合わさって、弟ながらも守りたいと思ってしまう。



大貴「俺ここにいるから…疲れたよね？眠くない？」



慧「…ん……眠くはないや…」



そういった慧だけど、やっぱり体力使ったんだな…


手をつないで、空いた方の手で布団の上からポンポンとしてやれば、スッと眠りについた。

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