あおいろ

一人の恐怖1 ページ26

慧side




ただ普通に…



別に急いでたわけもなく、普通に階段を上ったんだ…でも上りきれなかった。



慧「っっ！？」



心臓を握られてるみたいだ…



この痛みに慣れる日は来ないだろう…



変な汗がじわっと出てくる。



慧「クッッ……ハァッ……」



大丈夫…小さい発作だ…このくらいなら……




階段の真ん中にうずくまり、体を丸める。




慧「…………はぁ……くっ…」



薬は部屋とリビングにあるけど…



……まだ……動ける……



ずるずると落ちるようにして階段を降り、左胸を抑えながら薬の入ってる入れ物に座ったまま手を伸ばす…




ガシャンッ



棚から入れ物ごと落ちて、薬が散らばる…



…これだ…



壁にもたれて薬を舌の上で溶かす。



飲み込んだら効果が出ないって、小さい頃何度も言われたっけ…



薬が効いてきて少し楽になった。



でもまだ心臓はバクバクしてて、これ動けないやつだ……



1回の発作で3個まで。



そう容量が決められた薬をもう一つ舌の上に乗せて溶かす。




慧「…………ふっ……はぁ……びびった…」




久しぶりの発作に体力も持って行かれた…




まだ昼前ってことは…誰かが帰ってくるまで最低でも4時間はある…




それはさすがにきついなぁ…



きっと電話なんてしたら、すげぇ心配して飛んで帰ってくるだろうな…



申し訳ない気持ちもあるけど…



少し震える指先で、光の名前をタップした。

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