#50 思いがけない忘れ物 ページ50
「やー！今日はええ日やなほんまに」
レストランを出ると、彼は外の空気を目一杯に吸って大きく蹴伸びした。
その蹴伸びに向かって“今度何かお返しさせてください“って言ったら、“何、この短い間にお誘いまでできるようになったん”って言われたけど、なんのことやら。
「じゃあ、また明日な」
「明日…学校、休み」
「アホ、あーうーの！友達が隣に住んでんのやで？」
マンションの廊下に並んだドアとドア。
その間に2人で立って、軽い立ち話をしていた。
歪な形のお月様は、もう眩しいくらいに光っている。
「……あ！」
「ん？どした」
「あ、いや。何でもないです」
「いや、絶対何かあるやろ。言うてみ？」
あぁ…やらかした。
すっかり忘れてたけど、今日の予定！
「すみません、ちょっと買わなきゃいけないものがあって……あの、買ってきます」
「え、今から？何買うん」
「あのー……」
何か…恥ずかしいな。
でも下手に誤魔化したら、余計変だし。言うしかないか…。
「シャンプー…昨日で切れちゃって」
「シャンプー？店開いとるん」
「駅前の薬局なら、夜遅くまでやってた気が」
「おれの使う？」
「…え」
何の脈絡もなく、びっくりすることをポツリと零す。
それが、この人の癖。きっとそうだ。
「だって、今から行くんだるいやろ。おれの別に男用とかでもないし。使っとけば？」
「いや…でも、」
「ちょっと待ってな」
彼はガチャガチャ、と鍵をいじって、瞬く間にドアの中へと消えていった。
かと思えば、出てきたのは数秒後。
「ん」
ひょい、と彼から手渡されたのは、白いボトルだ。
…初っ端に貸してもらうものがこれとか、何かちょっと恥ずかしすぎる。
「わ…すみません、ありがとうございます」
差し出されたからには、もう受け取るしかない。
何だか大人っぽいパッケージ。
薬局で見たことがあるような気もするけど、値段だけ見て安いのを買っていたから、あんまり詳しいことは分からない。
「他はええのね？」
「あ、はい。大丈夫です」
今日買う予定だった他のものは、急ぎじゃないから明日買ってくればいい。
「ん。じゃあお風呂終わったら言って。取り行くわ」
「あっ…じゃあ、急ぎます」
「はは、ゆっくりでええよ」
それよりも、どうやら今は“こっち”を急がなくちゃならないみたいだ。
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もちこ(プロフ) - yimmさん» はじめまして！コメントありがとうございます。お楽しみ頂いているようで何よりです…！ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月25日 17時) (
レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
yimm(プロフ) - もちこさん、はじめまして☆お話楽しく読ませていただいてます。この後の展開を妄想するとなんかだかドキドキ(笑)更新頑張ってください。 (2020年10月25日 7時) (レス) id: 72bd3737bf (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - しおりさん» コメントありがとうございます。主人公可愛く書けててよかったです…！これからも是非色んな想像をしながらお楽しみいただけると嬉しいです、よろしくお願いします！！ (2020年10月23日 17時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 欲しいスタンプ俺が買ったるって何語ですか…？永瀬さんの妹になって買って貰いたい！それからなんですか！主人公ちゃんの可愛さ！！永瀬の妹って立場利用して主人公ちゃんと付き合いたい！ (2020年10月22日 21時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてとっても嬉しいです。ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月20日 22時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちこ | 作成日時：2020年10月13日 19時
