#49 心臓が跳ねる ページ49
「ほーん。まぁあるよな、そういうこと」
そう適当に聞き流してから、ハンバーグをパクリ。
それからライスを、バク、バク…からの、ムッシャムッシャ、ごくん。
ほっぺが膨らんだり喉仏がジャンプしたり、見ているこっちが美味しくなってしまうような食べっぷりだ。
…楽しい。
永瀬くんといると不思議と心が安らいで、肩の力が抜けていく。
それからあれだけ怯えていた沈黙への恐怖だって、早くも大分薄らいできていて嘘みたいだ。
彼との沈黙は怖くない。逆に、なんて言うか…落ち着くし、心地良いし、私の呼吸に合わせて溶けるような感じがして、緊張感がまるでない。
出会ってから、まだ数日も経っていないのに。
こんな人に出会えて良かったと、既に心の底から思っている自分がいる。
「んで、どう？今のがっこ。少しは楽しい？」
「……はい。永瀬くんみたいな人が…いるから」
「なん……照れるやん、そんなこと言われたら」
そう言われてから、ハッとする。
…あれ？なんか今、私ちょっと気持ち悪いこと言っちゃった？
ただ本心をポロっと漏らしただけだったけれど、気持ち悪いというか、変っていうか浮いてるっていうか……あぁ。
やっぱり私、コミュニケーションが相も変わらずド下手クソだ。
「ご、ごめんなさい」
「いやいや、謝るとこちゃうよ。でも嬉しいな、そんな風に言ってくれて」
「…嬉しい？」
「うん、嬉しい。そう言われて、嬉しくない人おらんと思うけど」
……って言われて嬉しくない人も、きっといないと思う。
…嬉しい。じわり、じわりと1つずつ重りを置かれるみたいに、思わず頬が緩みそうになるような気持ちが広がっていく。
「あの。私払います、流石に」
「ええって。今日はお祝いやから」
「お祝い？」
「Aちゃんと友達になった祝いと、Aちゃんに友達が増えた祝い」
いやいや、というかさっきお茶だって…とも言ったけど、永瀬くんは私が出した財布を無理やり鞄の中に押し込んだ。
その後はもう、いいから払われとけって強引に。
安いもんやん。なんぼでもないやん。とか何だとかって、さっさと会計を済ませてしまった。
「すみません……本当に」
「ええの。男ってのはな、女の子の前では男前でありたい生き物なの」
改めて、ハッキリと引かれた“男女”の線引き。
その線に触れて、今更ながらドキッとする。
この異質な心臓の跳ねは、一体何を意味するのだろう。
今の私には、到底分かるはずもない。
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もちこ(プロフ) - yimmさん» はじめまして！コメントありがとうございます。お楽しみ頂いているようで何よりです…！ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月25日 17時) (
レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
yimm(プロフ) - もちこさん、はじめまして☆お話楽しく読ませていただいてます。この後の展開を妄想するとなんかだかドキドキ(笑)更新頑張ってください。 (2020年10月25日 7時) (レス) id: 72bd3737bf (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - しおりさん» コメントありがとうございます。主人公可愛く書けててよかったです…！これからも是非色んな想像をしながらお楽しみいただけると嬉しいです、よろしくお願いします！！ (2020年10月23日 17時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 欲しいスタンプ俺が買ったるって何語ですか…？永瀬さんの妹になって買って貰いたい！それからなんですか！主人公ちゃんの可愛さ！！永瀬の妹って立場利用して主人公ちゃんと付き合いたい！ (2020年10月22日 21時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてとっても嬉しいです。ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月20日 22時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちこ | 作成日時：2020年10月13日 19時
