#46 手で踏み出すはじめの一歩 ページ46
ちょっとは仲良くなれた…のかな。
私からは何も話さずに、ただ3人の話を聞いて相槌を打っているだけだったからよく分からない。
「そろそろ帰りますか、ね」
「えー廉本当に帰っちゃうの？俺今日もここ泊まるよ？」
「おーおー、じゃあな」
「ねえ本当に夕飯食べないで行っちゃうの？」
「おん。今日はええわ」
人懐っこい2人からの質問を、永瀬くんは慣れた様子であしらっていく。
「えー、食い行こうよ。4人でさ」
「あー…何かもう、作ってあんのがあるらしいで。また今度な」
角の立たない、機転の利いた言い訳。
本当は何も作ってないんだけど、適当にでっち上げてくれたらしい。
こうやって見てると、寂しがり屋で甘えん坊な弟2人を“ハイハイ”って慰めてるお兄さんみたい。
「え、作り置き？女子力高いね」
「いや、その…そういうわけじゃ」
些細な言葉にアンテナを張り巡らして、一気に話を広げてしまうのが彼らだ。
とんでもないコミュニケーショ能力。私にはとても真似できない。
「ハイハイ行こう行こう。おれお腹空いたからはよ帰ろ」
そのアンテナに思わずビビッと引っかかった私は、永瀬くんに肩を押されてズルズルと回収された。
…あれ？なんか私も、この弟くんたちと同じような扱いされてる？？
「んじゃあ、気をつけてね2人とも。あ、お菓子ありがと！」
向日葵くん、改め海人くん。
私のクラスメイト、そして友達。
…なんか、ふわふわする。そんな存在、今まで意識したこととかなかったから。
「あのさ。また来なよ、いつでも」
「そだよ！ここ学校から近いし、なんなら毎日来てもいいんだかんね。…あ、紫耀が良ければだけど」
「いいよ？もうパンツ干さねぇし」
いつでも…毎日。行ってもいいらしい友達の家。
それが冗談半分の言葉だとしても。
今後はもう、この家に自ら足を運ぶことはないんだろうと薄々勘付いていても。
そう言ってくれたこと自体が、嬉しかった。
何の表情にも出さなかったけど。
本当はバカみたいに、嬉しかった。
「バイバーイ！」
玄関を出れば、後ろから元気な2人の声。
こんな近距離なのに、満面の笑みで両腕をブンブン振ってる。
_______これ、知ってる。
廊下で手を振ってくれた永瀬くんのと同じやつ。
あの時は振り返せなかったけれど、今日は。
…今日、こそは。
拳をぎゅっと握ってから、恐る恐るそれを広げて腕を上げた。
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もちこ(プロフ) - yimmさん» はじめまして！コメントありがとうございます。お楽しみ頂いているようで何よりです…！ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月25日 17時) (
レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
yimm(プロフ) - もちこさん、はじめまして☆お話楽しく読ませていただいてます。この後の展開を妄想するとなんかだかドキドキ(笑)更新頑張ってください。 (2020年10月25日 7時) (レス) id: 72bd3737bf (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - しおりさん» コメントありがとうございます。主人公可愛く書けててよかったです…！これからも是非色んな想像をしながらお楽しみいただけると嬉しいです、よろしくお願いします！！ (2020年10月23日 17時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 欲しいスタンプ俺が買ったるって何語ですか…？永瀬さんの妹になって買って貰いたい！それからなんですか！主人公ちゃんの可愛さ！！永瀬の妹って立場利用して主人公ちゃんと付き合いたい！ (2020年10月22日 21時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてとっても嬉しいです。ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月20日 22時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちこ | 作成日時：2020年10月13日 19時
