#26 ウソとウソとホントの話 ページ26
人って、自分より焦ってる人を見ると返って冷静になるらしい。
それってまさにこういうことだ。
さっきまであんなにポカンとしていた永瀬くんはキリッと通常運転に切り替わって、代わりに私の口があんぐり開いてる。
「う、うそぉ…」
「ほんまやで。…ほれ」
彼の手に握られているのは、確かに永瀬くんのポケットから出てきた鍵だった。
全く同じような形とサイズのやつを、私も持ってる。まさに今、鞄の中に。
その銀色が、私の部屋の隣の鍵穴をガチャリと鳴らす。
そして彼がドアノブを握れば、あれだけピンポンしてもビクともしなかったあのドアが、私を嘲笑うようにあっさりと開いた。
「…へ……？」
頭の中が、空になる。
こんな偶然が巻き起こってしまう自分の運命が、心なしか憎いほどに。
「ははは、固まりすぎ。いやおれも、途中まじで頭ん中空っぽになったけどね。付いてけば行くほど自分ちに近づいてくもんやから」
“一緒に帰らん？”はウソだった…って思ったけど、どうやら1周まわってウソじゃなくなってしまったらしい。
そして代わりに、ウソになったことがまたひとつ。
「だ…だってさっき、最寄りは学校の駅だって。学校から歩いて5、6分のとこだって…！」
「んー…あれね。おれの家はここなんやけど、おれと海人で勝手に紫耀とシェアハウスしてんのよ」
「シェア…ハウス？」
「まあ、又の名を居候？だってあそこの方が、早起きしなくて済むもん。春休みの間は勿論こっちにもおったけど、久々に学校始まるともー毎朝通うのダルくて…休みの終わりぐらいからずっとあっち」
一人暮らしを始めたばかりの身としては、そんな家賃が勿体無いことを…とどうしても思ってしまう。
けど仲の良い友達が学校の近くに住んでいれば、確かにそんな生活がしたくなるものなのかもしれない。
それに彼の言う通り、学校の近くを選ばなかった分何分か早起きを強いられているのは事実なわけだし。
「そしたら…みんなも一人暮らし、なんですか？」
「いや？海人とかは実家も近くて、普通によく帰っとるよ。おれは父親の転勤でこっち来て、んでまた転勤するでーとか言われて…けど今の高校が好きやしもうええ歳やったし、1人でこっちに残ったってとこ」
…あ、永瀬くんも親が転勤してるんだ。
親の転勤があっても高校を変えなかった彼と、わざわざ変えた私では色々と訳が違う。
…けどなんか、勝手にちょっとの親近感。
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もちこ(プロフ) - yimmさん» はじめまして！コメントありがとうございます。お楽しみ頂いているようで何よりです…！ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月25日 17時) (
レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
yimm(プロフ) - もちこさん、はじめまして☆お話楽しく読ませていただいてます。この後の展開を妄想するとなんかだかドキドキ(笑)更新頑張ってください。 (2020年10月25日 7時) (レス) id: 72bd3737bf (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - しおりさん» コメントありがとうございます。主人公可愛く書けててよかったです…！これからも是非色んな想像をしながらお楽しみいただけると嬉しいです、よろしくお願いします！！ (2020年10月23日 17時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 欲しいスタンプ俺が買ったるって何語ですか…？永瀬さんの妹になって買って貰いたい！それからなんですか！主人公ちゃんの可愛さ！！永瀬の妹って立場利用して主人公ちゃんと付き合いたい！ (2020年10月22日 21時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてとっても嬉しいです。ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月20日 22時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちこ | 作成日時：2020年10月13日 19時
