#20 右手を染める36℃ ページ20
「ストーカーと“は”って、ははっ、何やそれ」
「だ…だって！いつまで付いてくるんだろう、って」
「んー、いつまでやろなぁ。…あ！それよりAちゃん、LINE交換しよか」
マンションの手前、人がいない道の上。
緑色の寂しい掲示板の前で、彼はポッケからスマホを取り出してそう言った。
「ライ…？」
「え、やっとらんの？」
「はぁ…やってないです……」
名前は聞いたことあるけれど、そういうのにはさっぱり疎い。
連絡を取る人なんて親くらいしかいないし、その親もどちらかと言えばアナログ派だし。
「うっそマジで？今時そんな人おるん」
「…む、だって」
「んじゃあ俺が教えたる。ほらスマホ出して」
「え、でも」
「いーから、はよ」
彼に急かされて、言われるがままに鞄の中からそれを出す。
ガラケーはもう色々とサービスが終わっちゃうからって、ちょっと前に家族揃って変えたやつ。
彼が驚くのも無理はない。
我ながら、恥ずかしいくらいには周りに置いていかれていたと思う。
でもSNSとか、ナントカ映えとか、ほんと尽く興味なくて。…というか、自分とはまるで無縁な世界だと思ってた。
「ロック解除し…え。パスコードかけてないん？あとでかけとき、0123とか」
「0123…？って、バレないですかね」
「ないよりマシやで」
“アプリすっくないなぁ”とか言いながら、慣れた手つきでアプリストアからそのアプリを検索する。
自分では使い方がよく分からなくてストアは放置していたけれど、彼はものの数秒でお目当てのアプリに到達したらしい。
「入れるで？」
「あの、これ、お金とか…」
「かからんかからん。欲しいスタンプ見っけたらおれが買うたるし」
「スタンプ？」
「あんねん、そういうのが」
…あ、押された。
何だかよく分からない間に、彼の指先でタップされたインストールボタン。
まぁ、彼が大丈夫って言うなら大丈夫なんだろう。大分置いてけぼりにされてはいるけど。
「…ん？指紋は登録してんのね」
言われてみれば、父親に勧められてそれだけ登録したような…気がする。
記憶は曖昧だけど、多分あれだ。やたらと親指を押しつけた時の。
「あ、はい」
「右手？」
「…多分」
「手貸して」
「手？」
________あ。
彼の弄る画面に集中していた自分の意識が、瞬時に右手の方へと移される。
そして無造作に垂れていた彼の右手が、私の右手を不意にすくった。
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もちこ(プロフ) - yimmさん» はじめまして！コメントありがとうございます。お楽しみ頂いているようで何よりです…！ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月25日 17時) (
レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
yimm(プロフ) - もちこさん、はじめまして☆お話楽しく読ませていただいてます。この後の展開を妄想するとなんかだかドキドキ(笑)更新頑張ってください。 (2020年10月25日 7時) (レス) id: 72bd3737bf (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - しおりさん» コメントありがとうございます。主人公可愛く書けててよかったです…！これからも是非色んな想像をしながらお楽しみいただけると嬉しいです、よろしくお願いします！！ (2020年10月23日 17時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 欲しいスタンプ俺が買ったるって何語ですか…？永瀬さんの妹になって買って貰いたい！それからなんですか！主人公ちゃんの可愛さ！！永瀬の妹って立場利用して主人公ちゃんと付き合いたい！ (2020年10月22日 21時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてとっても嬉しいです。ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月20日 22時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちこ | 作成日時：2020年10月13日 19時
