【d!】我々のメイドリーダー 2 (ページ8)

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『あのっ、』

何か言いたげなその瞳に思わず口を閉ざす。
数秒間見つめると何を思ったのか目線をそらされる。

「すまなかった」

目線をそらされたまま呟くように言われた言葉に理解ができなかった。
主人となるグルッペン様から謝罪されることなどあってならないと急に切り替わった思考回路が言葉を紡ぐ。

『グルッペン様が謝罪なんてされる必要なんてございません！私の対応が悪かったのです、大変申し訳ございません』
「いや、違うんだ…俺が勝手に怒ってお前に当たってしまっただけだ。俺が悪い」

お互い譲らない時間が長く感じる。
下げた頭を上げず、いえ、動けずにいたところグルッペン様がぽつりぽつりとあの後の応接室にて行われた会話の内容について話し出す。

あの国王の視線は私の予想通り性的な目でみており、私達が退室した後に私の事を気に入った国王が私を引き取りたいと言ったそうだ。
幹部と一緒に何度断っても交渉として私を指名したことに我慢の限界が来てしまい、私の顔を見ると思い出して爆発しそうだったと。

「頭を上げてくれ」

少し震えて聞こえる声にゆっくりと頭を上げる。

「あの後、オスマンに怒られたんだ。正論すぎてすぐに冷静にはなれた。しかしすぐにお前に会いに行けなかった、今もお前がこの部屋に来てくれなければなかなか会いにも行けなかっただろう」

「それにお前はどの国にもやるつもりはない。この俺に、この国に忠誠を誓ってくれたんだからな」

「子供のような一時的な感情であのような酷い言葉を言ってしまって申し訳なかった。それに俺からではなくお前から、Aから謝るきっかけをくれてありがとう」

再度述べられた謝罪と感謝の言葉は先ほどとは違いしっかりと私の目を見て述べてくれた。
涙こそ見えないが泣きそうな表情に何も言えない。

「詫び、というか物で釣るのはおかしいかもしれないが何か希望があればそれをやろう。欲しいものややりたいことがあれば何でも言ってくれ。何としてでも用意する」

そう言って正面に距離を詰めてきたグルッペン様から目線を外さずに口を開いた。

『で、ではお言葉に甘えて…お湯を換えに一度退室させていただいてもよろしいでしょうか？』
「…ん？？」

希望があればとのことで言ってみると何か違ったのか眉間にしわを寄せたグルッペン様が小首をかしげた。
…私は何か解釈を間違えてしまったのだろうか？