【d!】我々のメイドリーダー 2 (ページ6)

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19-4 Tn side ページ6

いやね、なんて言うたらええんですかねこの空気。

客人を見送った後、Aを置いて早歩きで執務室へ向かったグルッペンを追いかけてきた。(あ、大先生も置いてきたわ)
机に向かい無駄に長い足を組みながらイライラを隠しもせず一点を見つめている。
グルさん、目元ぴくぴく動いてますよ。
血管も浮いてきてるように見えまっせ。
その視線だけで何人かやれそうですね、久しぶりにそんな殺気感じましたよ。

一緒に後を追ってきたオスマンはソファに腰かけてスチュワードが淹れた紅茶を優雅にいただいている。
この殺気の中でよく笑顔で優雅に紅茶飲めるな、尊敬するわ。あ、別に変な意味ちゃうで褒めてんで？

まぁその紅茶を淹れたスチュワードも涼しい顔してんなぁ…慣れっこですってか？
グルさんがここまで怒ることは珍しい、専属とはいえ見慣れていないはずやけど…。

「トントン様もどうぞ」
「お、おん…ありがとうな」

自分の前に置かれたティーカップに映る自分の顔を見るとどこかいつも以上に疲れた顔をしていた。

「なぁグルッペン、そんなに怒らんでもええんちゃう？使用人に対する扱いなんてだいたいこんなもんやろ」

おいおいおいおいオスマン何言ってんねん！
今のグルさんにそんなこと言ったら火に油を注ぐのと同じちゃうんか！？

「気持ちはわかるで？俺やってあの子との付き合い長いしよく見てたし」
「おいオスマン」
「でもな？」

変な悪ノリなんて思いもつかず思わずオスマンの話を遮ろうと声をかけた瞬間、ソーサーに静かにティーカップを置いたオスマンの瞳が開いた。

「何にも知らんあの子にあのいい方はないんちゃう？流石に俺も怒るで」

隣から感じる殺気に思わず黙った。
いつもは閉じられている瞳が開いた事も驚いたが何よりもその殺気の強さに声が出なくなった。
冷や汗が伝うのがわかる、ここまでオスマンの殺気を浴びたのは初めてかもしれん。

どれだけ時間がたった？３０分、いや１時間？
それくら長く続いた嫌な沈黙は部屋の主によって破られた。

「お前に言うのもおかしいが悪かった、何も考えずに感情のまま動いてしまった俺が完全に悪い」
「わかればええんや」

グルさんがため息をつく、それと同時にお互いの殺気が消えた。
これだけ嫌な空間に長時間いたんだ、１週間は休ませてほしいわ。
ちらりと時計を見ると体感時間と全く違う、まさかの２分ほどしか経過しておらず、よほどこの殺気満ちた空間にいた時間が酷だったんだと改めて感じた。