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管轄内の見回りが終わり途中で会った星導と拠点に戻る。

そこは珍しくシンと静まり返っていた。

この時間、いつもなら誰かしらいるからだ。

伊波は大学生とヒーローの二足の草鞋を履いているため忙しなく動き回っているのでいない事が多いが、忍者と巫女は普段から拠点に入り浸っていた。


「珍しいですね」

「ライは納得としてカゲツとAがいないのは珍しいな」


電気を着け、一休みしようとソファーへ向かうと俺らの姫が横たわっていた。

赤く腫れた目尻には乾いた涙の跡が痛々しく残っている。

俺は親指の腹でその跡を撫で、柔らかい艶のある髪を耳にかけてやった。


「今日の昼、管轄内の小学校が襲撃にあったそうです」


俺の背後から顔を出した星導は、Aの頭を優しく撫でて、ブランケットをかける。

人のことは言えないが、こいつも大概Aに甘い。


「所詮ヒーローも市民も、おんなじ人間なのにな」

「そうですね。Aは司令が入った瞬間急いで駆け付けた。管轄と言っても全てをくまなく見回りはするが、全ての危険を防げる訳ではない。全て防げるのなら多くのヒーローはいらないですから」


ふと、沈黙の時間が訪れる。

ヒーローだって人間で、どんなに強くても、沢山の人達を救えても、殉職してしまえば元も子もない。

それを知っているのは救いを享受してない俺等にしかわからないんだ。

人間、それを受け止めるには寿命が短すぎる。

だからAは、俺らヒーローは藻掻いて、苦しんで自分の正当性を見つけるために奮闘してる。


「Aが起きたらケーキでも食べてココアを入れましょう」

「もしかしてそれ遠回しに俺のこと馬鹿にしてる?」

「カゲツに電話してチョコケーキ ワンホールでも買ってくるよう頼みましょう」

「おい目を泳がすな」

「人間、脆いですから」

「…ふ、そうだな」


そう星導が言った顔が、まるで愛おしいもの、それこそ我が子を見るような顔だった。

【切り抜き】オタク語り→←▽



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焼き餅もちもち(プロフ) - 美泳さん» 全然気付きませんでした…ご指摘ありがとうございます! (2月2日 22時) (レス) id: 2dcf268308 (このIDを非表示/違反報告)
美泳(プロフ) - コメント失礼します。概要のところに書いてあるヒーローたちの名前なのですが、akgくんだけ抜けてるように見えるます。気のせいでしたらごめんなさい。 (2月2日 8時) (レス) id: 69c64fedee (このIDを非表示/違反報告)
焼き餅もちもち(プロフ) - 仁科さん» ありがとうございます!ご期待のそえる出来になるか分りませんが、今日中に投稿めざして頑張っているので少々お待ち下さい! (1月27日 10時) (レス) id: 2dcf268308 (このIDを非表示/違反報告)
仁科(プロフ) - 成人式のお話とても楽しみです…!! (1月24日 22時) (レス) @page27 id: 81dc20dea8 (このIDを非表示/違反報告)
焼き餅もちもち(プロフ) - 左右田湊翔さん» リクエストありがとうございます!遅くなりそうですがやらせていただきます! (1月23日 20時) (レス) id: 2dcf268308 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちびーむ | 作成日時:2024年1月3日 21時

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