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実は二階にAの部屋はなく、光の入らない地下にあるのだった。
床布の下、うっすらと埃を被った床板が出てきた。
狭い隠し通路は巨体のクザンには無理だったため、入るのはやめた。
しかし入らない方がいい。
｢拷問されてた｣
ｸｻﾞﾝ｢Aちゃんが？｣
｢うん。家族なのに、魔女だから｣
今も昔も人間は罪深い生き物だった。
同種族でも争いと貶しあいは絶えない。
魔女狩りは世の中の女性を数多く殺してきた間違った処刑法。
まだ幼かった当時のAは確実に魔女であったために、
家族や村の人々から拷問をされていた。
｢人間憎い。今も嫌い｣
ｸｻﾞﾝ｢好きじゃなかったのか？｣
｢…嫌い、でも好き。私も人間、端くれ｣
ああ、なんと儚いのだろう。
魔女とわかってしまえば子供であろうと大の大人たちは群がって虐める。
彼女の場合は殺されることなくただ瀕死状態になるまでそうされたのだろう。
｢人間、みんな悪くない｣
ｸｻﾞﾝ｢否定はしない｣
｢クザン、いい人｣
にっこりと笑ってみせた。
Aはやはり生きた数が違う。
いい人に巡り会えたのは多いのだろう。
その一人にクザンがいた。
ｸｻﾞﾝ｢Aちゃんさ…どうしてユートピア島に来る時結婚したんだ？｣
｢え｣
ｸｻﾞﾝ｢ん？｣
｢わ、わかんない…その、シュヴァのこと……
記憶ない、だから…ごめん、なさい｣
ｸｻﾞﾝ｢へえ、シュヴァね…｣
記憶にないらしいが、シュヴァという名前を聞き出せた。
ルナが全ての記憶を握っていた。
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作者名：海原うに | 作成日時：2018年11月18日 22時
