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｢人間｣
ﾉｱ｢？｣
｢人間に、戻るかな｣
ﾉｱ｢もし戻ってしまったら、どうしますか？｣
｢…旅できない｣
Aはノアと紅茶を飲みながら話していた。
もしルナを自身に取り込んで人間に戻ってしまったら
ただの使えない女になってしまう。
Aはそれが恐ろしかった。
魔法に依存していた故のことであったのだ。
ﾉｱ｢さっき、お二人の部屋の前で盗み聞きしてしまったのですが…
ピクシーが言うには、人間に戻ることは無い、とのことでしたよ？
あの…失礼だと思いますが、お師匠様はルナのこと、どれほどご存知なのですか？｣
｢うーん、本当は…知らない｣
ﾉｱ｢え｣
｢記憶がない｣
ﾉｱ｢記憶がない？半身なのは分かるのに、なぜ…｣
｢大切なの、わかる。触れてはいけないのも、
だけど…ルナ、どうなの、わかんない｣
本当に知らなそうな顔をしていた。
｢私、あの人…知らない｣
ﾉｱ｢え？｣
｢シュヴァ｣
ﾉｱ｢シュヴァ様は旦那様でしたよ。とても懸命で、愛情深くて…
って、本当に、愛していらっしゃったのでしょうか…？｣
ここでそう疑問に思ったノア。
数回会う機会のあったノアだったが、見かける度にAと少々距離があったように見えた。
そしてAも寂しそうな顔をしていた。
夫婦だった筈なのに、どうしてなのか？
しかし今のAはそんなこと知らないのでどうにもならない。
｢ルナ、取り戻す｣
ﾉｱ｢アヴァロンの塔は限界が近いです。近いうちにそうしましょう｣
｢あいつも｣
あいつ、とは
ピクシー族の長であるマンドルという者だった。
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作者名：海原うに | 作成日時：2018年11月18日 22時
