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重そうな音は砂に和らいでいたが、とても大きなドラゴンはクザンを見下ろして次第に伏せた。
Aはドラゴンなのか、エルーンなのか。
あの青い目は不思議なくらい澄んでいる。
もはや彼女への気持ちは怪異そのもの。
｢乗って！｣
ｸｻﾞﾝ｢乗るったってなあ…おじさん、高いところが苦手なんだ｣
｢むむ…｣
本音は全くそう思ってなかったが、なんだかエルーン族へ関わるのが恐ろしく思えたクザン。
できれば即座に逃げたいところだ。
Aは元の姿に戻ると、頭をガシガシとかいて悩んだ。
その姿はまるでおっさん。
｢あ、転送魔法使えばいい！｣
ｸｻﾞﾝ｢いや、Aちゃんに悪いし、俺はここで別の島に…｣
｢ダメ。一緒に行く！｣
ｸｻﾞﾝ｢Aちゃん、エルーン族は俺たちにとって全く知らない未知の種族。
そんな君と知らぬ島に行くのは、俺も死を覚悟するも同然だ｣
｢なんで？死なない。私守る｣
しょぼんとした顔でクザンの服を引っ張る。
子供のワガママ聞いてる感じで少し嫌だが、Aはそれでもクザンと離れたくないと言ってきた。
どうしてここまでクザンに拘るのか。
｢人間必要…クザン、来て？｣
彼女たちの事情は知らないが、必死に懇願する姿にクザンはかつての正義を思い出した。
だらけきった正義。
しかし本性女に弱い。
男のサガではあるが、こうも頼られるのは悪くない。
ｸｻﾞﾝ｢…わかった。じゃあ取り引きだ｣
｢うん？｣
ｸｻﾞﾝ｢Aちゃんたちの島に行ってやる事やったら俺と旅をする｣
｢旅？｣
ｸｻﾞﾝ｢この世界を周るのよ。おじさんとね｣
これは最初から決めていたこと。
恐らくだが、魔法とは悪魔の実の能力者同等の能力を持ち、
様々な場面で応用できる。
それを利用したいクザンの思惑は純粋なAの気持ちを湧かせた。
｢うん！旅する｣
これで条件を交換しあった2人は
Aの島に再び向かうこととなった。
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作者名：海原うに | 作成日時：2018年11月18日 22時
