虹色の花束を捧げる

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多分飛び上がるくらい驚いていたと思う。
　
後ろの開いた窓から今ちょうど話題のいるま先輩。
　
え、え、？なつくんって言った？なんで？
と困惑しか飛びかわない中、通常運転の４人。
　
　
『おー、いるまー』
　
　
おっせぇぞーと茶化すなつくんに
いるま、じゃなくているま先輩な、と
先輩を強調して注意するいるま先輩。
　
　
『で、何？』
　
『いや、用はねーけど』
　
　
いるまセンパイどうせ女子に囲まれてんだろうなーって
助けてあげただけだよ、と言うなつくん。
　
それを見ていると他３人からものすごい視線を感じる。
　
わかる、わかる。
行けっていう圧ですよね。そうですよね。
　
　
「...あ、の、」
　
　
か細く発した声は聞こえたのか聞こえなかったのか
すぅ、と騒がしい教室に消えていった。
　
聞こえなかった、と俯いていると、
　
　
『なぁ、声、かけてくれたの、俺？』
　
　
窓枠に肘をつきながらこちらを見るいるま先輩。
　
奇跡だ、と思いながら、あわあわと慌ててしまう。
　
　
「そ、そうです！」
　
『どうしたん？』
　
　
あ、うるさかった？すまん。
俺ら盛り上がると気付けねぇからさ。
と両手を合わしてこちらの様子を伺ってくる。
　
　
「いや、ちが、くて...」
　
　
ん？という顔を浮かべる先輩に何も言えずにいると
雰囲気を壊す軽快なチャイムが響き渡る。
　
あ、と絶望すると同時にごめんなさい、と思っていると
そのままぐっと窓越しに抱え上げられる。
　
　
「え、ちょ、チャイム！鳴ってます！」
　
『なーんだ、でっけぇ声出んじゃねーか』
　
　
くく、と笑いながら人気のない教室に連れて行かれる。
　
　
『で？結局用ってなに？』
　
「いや、用、ってもののほどでは...」
　
　
俺が聞きたいから用、ときっぱり言い捨てられ、
じっ、と透き通った瞳に見つめられる。
　
　
『チョコ、渡したかったんです』
　
「チョコ？」
　
　
結局持ってこれてないですけど...
というと、少し考えた後に、
　
　
『それ、本命？』
　
　
どく、と胸が鳴る。
　
　
「...は、い」
　
　
少しの沈黙。私からすると長い。
すぅ、と息を吸い込んで吐き出された言葉。
　
　
『あのさ、なに心配してんのかしんねぇけど
　俺も好きだから』
　
　
お前の片思いじゃねぇから、と
腕でほんのり染まった顔を隠したいるま先輩。
　
きっとこれはバレンタインが繋げた赤い糸。
　
　
　
　
　
＿＿＿＿＿花言葉＿＿＿＿＿
　
ベゴニア 愛の告白、片思い
　

アセビ 【☔️】→←ベゴニア 【📢】

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