虹色の花束を捧げる

エリンジウム 【☔️】 ページ40

『Aーっ！』


どしーん、と体当たりする勢いで来るこさめくん。

梅雨の時期で雨だっていうのに元気そう。
こさめくんの季節だもんね。


「こさめくん、おはよ」

『ねぇAー、ハンカチかタオル持ってない？』


濡れちゃって、としょぼんとするこさめくんに
雨だから、と持ってきたタオルを手渡す。


「梅雨明けまで持ってきた方が良いからね？」

『わぁーっ！ありがとう！A大好き！』


話を聞いているのかいないのか。


「好き、なんて簡単に言っちゃだめだよー？」

『Aにしか言ってないもーん』


どれだけ言っても懲りずに言われ続けるんだろう。

ふわふわだぁ、とタオルで腕や足を拭くこさめくんは
いつもより幼く見えてなんだか可愛い。

好き、と言われたことは何度もある。

でも、改まって告白されたことはない。


『これ、洗って返すから持って帰っていい？』

「え、別に洗わなくていいのに」


じゃあこさめが洗いたいから持って帰る！
なんて言われてしまったらどうしようもないじゃんか。

タオルを綺麗に畳んで鞄に入れるこさめくん。


『今日って体育シャトルランになるのかなぁ』

「あー、そうかもね」

『やりたくなぁい』


むぅ、と不機嫌そうに頬を膨らますこさめくん。


「私もやりたくないなぁ...」

『A、偏頭痛持ちやもんなぁ』

「１限目やから頑張ろー...」


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どたどた、と騒がしく廊下をみんなで走っていく。

体育館まで校内を通っていかないといけないから
わりと遠回りになってしまって急いでいる。

体調はなんとなく悪化している気もするけど。

授業が始まる前に準備を済ませ、
前半と後半で２グループに分かれて走るため、
こさめくんとペアを組む。


『こさめ先走るからA休んどいて？』


絶対無理しないでね、とジャージを肩に掛けられる。


「あ、ありがと...」


Aにかっこいいとこ見せるために
こさめいっちばん頑張るから！見ててね！

ぶんぶん、と大きく手を振って
アップを始めるこさめくんを遠目で見る。

なんでこんなに優しくしてくれるのかな...

きゅ、とジャージで体を包むように引っ張る。

あったかい。
こさめくんの体温がゆっくり沁み込んでくる。

すき、だなぁ...

＿＿＿＿＿花言葉＿＿＿＿＿
　
エリンジウム 秘めた愛
　

杏子 【📢】→←キンセンカ 【👑】

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