虹色の花束を捧げる

デンファレ 【👑】 ページ32

付き合い始めたのは１年前。

もう既に１年も経ってしまったのか。

人気者のみことくん。
そんなみことくんと釣り合うわけもない私。


『A？聞いてる？』

「あ、あごめん、聞いてなかった」

『いつもの俺みたいやんー』


お昼休みに校舎裏で食べるご飯。


『今度の演奏聴きに来てくれるん？』

「うん、予定入ってないから行けるよ」


やったぁ！じゃあ頑張る！と意気込むみことくん。
行かなくても頑張ってくれないかな？

ゆっくり、のんびり。
ここだけ時空が違うような空間に
軽快なチャイムの音が鳴り響く。


『みことさん、至急、職員室に来てください』


繰り返します、ともう一度流れるアナウンス。
呼ばれた本人が１番驚いているようで。

俺、なんかしたっけなぁ...
とりあえず行ってくるね、と腰を上げるみことくん。

いってらっしゃい、と背中を見送り、
１人で木の幹にもたれかかる。


「ふぅ...」


正直、人気者であるみことくんと付き合ってる私には
周りの女の子からヘイトがそりゃとても向いている。

疲れた...と木にもたれながら目を瞑ると
意識がふわ、と無くなっていった。


＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿


先生に呼ばれたのは次の英語のスピーチの件で、
そんなに長く拘束されることもなく、
ぱぱっ、と終わってしまった。


『A！もど...た』


目を向けるとすぅ、すぅ、と寝息を立てているA。

普段見ない表情のAの頬をする、と撫でる。


『...いつも頑張ってくれてありがとう』


Aと付き合った当初は周りの男友達からも
付き纏って来てる女子からも釣り合ってない、って
ずっと聴き続けた。

それをAが気にしてるみたいで、
この１年間で前よりずっとずっと可愛くなった。

周りの人たちも何も言わなくなった。


『もう釣り合ってない、なんて言わせないから』


俺の方が置いてかれてそうな勢いで
どんどん垢抜けていくA。

お似合いとかお似合いじゃないとかどうでもいい。
誰にお似合いじゃないと言われようと
俺がお似合いって言い続けるから。

起こさないようにそーっとAの横に腰を下ろす。

２人寄り添って生きていけるように、と願いを込めて
俺もゆっくりと目を瞑った。





＿＿＿＿＿花言葉＿＿＿＿＿
　
デンファレ お似合いの２人
　




＿＿＿＿＿ Special Thanks ＿＿＿＿＿

リクエスト者 りーちゃん 様
　

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