虹色の花束を捧げる

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ぶるぶる、と身体が小刻みに震える。
　
　
「さむい...」
　
　
上着、持ってこれば良かった...と後悔しながら
スマホを見るともう２１時３０分。
　
１人でずっといるとなんだか寂しくて、
なつくんの電話番号でスクロールが止まる。
　
なつくん、きっと怒ってるよね。
活動のことなにも知らないのに口出しした後悔。
　
誰かに話を聞いてほしくて電話をかけた。
　
　
「...もしもし」
　
『Aちゃん？どうしたの？』
　
　
もしもし、の声が泣いていて酷かったのか
なつくんは？泣いてるの？と質問攻め。
　
　
「こさめくん...なつくんと喧嘩した...」
　
『え！そうなの...？』
　
　
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　
　
「こさめくんありがと。
　すごい元気になった」
　
『それならいいけど...
　これからどうするの？』
　
「とりあえず頭冷やしてから帰ろうかな...」
　
　
付き合ってくれてありがとう、と電話を切り
夜空に輝く北極星を見上げる。
　
なつくんは人気の活動者で、
きっとあんな風に輝いていて、
私が隣で支えていたいって思うのに。
　
　
「思うのに...」
　
　
今、なつくんに迷惑しかかけてないじゃん...
私、ほんとに最悪、と１人で落ち込んでいると
どこからか駆けてくる足音。
　
　
『Aっ！』
　
「なつ、くん...」
　
　
レジ袋をぶら下げたなつくんが
こちらに向かって全力で走ってくる。
　
呆気に取られて動くことができなくて、
そのまま目の前まで距離が縮まる。
　
　
『これ、とりあえず飲め』
　
　
息切れを起こしながらがさがさと袋から
あったかいコンポタを取り出して手渡される。
　
そのままこれも、と言って、
着ていた上着をふわっと着せられる。
　
急にあたたかさに包まれて目に膜ができる。
　
　
『ちょっ、泣くなって！』
　
「ちがっ、ごめ...」
　
　
両腕で顔を隠そうとするも、
そのままぐっと温もりに包まれる。
　
　
『ごめん、俺が悪かった、から』
　
　
戻ってきてくれ、とぎゅっと力が込められ
息が少し苦しくなる。
　
　
「なつくん、ちょっとくるしい、かも」
　
　
というと慌ててぱっと離される。
　
　
「私もごめんね？」
　
　
ゆっくり近づき、なつくんの手を取る。
　
　
「...一緒に帰ろ」
　
　
なつくんの顔に浮かぶ笑顔。
それにつられて笑う私。
　
これできっと、仲直り。
　
　
　
　
　
＿＿＿＿＿花言葉＿＿＿＿＿
　
赤ゼラニウム 君ありて幸福
　

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