虹色の花束を捧げる

ユキハナソウ 【🎮】 ページ29

優等生だったはずだった。

親が望むなら、と勉強も疎かにしたことなんてなかった。


『この成績でしたら県内のトップ校全然いけますよ』


あらそう？とあからさまに上擦った声。

私はこの声を聞くために勉強していたのか？

いじめられてもない、生活が不自由なわけでもない
けどいつもどこか同級生からはレベルが違うよね、と
距離を置かれ、友達という友達ができなかった。

懇談の帰り。
母親に買い物行くけど先に帰っておく？と聞かれ、
うん、としか返事をせずに別れた。

すべり止め、といっても目指してくる人がいるレベルの
私立高校と本命の高校のパンフレットを
カバンに押し込もうとする、が


『あれ、Aさん？』


奇遇だね〜、何してたの？と
数名のクラスメイトの集団から声をかけられるも
パンフレットを見て気付いたのか、
ああ〜...、と少し気まずそうに目線を逸らされる。


『Aさん頭良いもんね、似合うと思うよ』

「あ、ありがとう...」


気まずい空気。
ああ、もう最悪だ。


『お前ら、なに？』


道端で寄ってたかって、邪魔なんだけど。
後ろから響く声。

振り向くと６人の男の子の集団。
同い年くらい、だろうか。


『高校のことだかなんだかしんねーけど
　人の志望校に口出すとか何が楽しいわけ？』

『口出してるわけじゃ...！』

『じゃあなに？』


わざわざ頭良いから、とか言わなくていいだろ。
話題変えればいいだけの話。

半分キレ気味で話す男の子に言い返すクラスメイト。


『どこ行きたいか、なんてこいつが決めることだろ
　さっさとどっかいけよ』


口を結んで、いこ、と去っていったクラスメイト。


『なつくん、今のは言い過ぎ』

『はぁーー？』


...と、そんなやりとりを横目で眺めていると
オリーブのような緑髪の男の子が話しかけてくる。


『急に割り込んじゃってごめんね』


やめときなよって言っても聞かなくて、と
日常茶飯事なのか笑って流される。


『これ、俺たちが受ける高校のパンフレット』


もし良かったら考えてくれない？
ひまちゃん、君のこと気に入ったみたいだから、と
先程割り込んできた男の子をちらりと見る。

じゃあ、また会えたらいいね、と言ってから
みんなもう行くよ？とまとめて引き連れていく。


次に会うのはきっと桜散る校門前。





＿＿＿＿＿花言葉＿＿＿＿＿
　
ユキハナソウ 君にまた会いたい
　

ユリオプスデージー 【👑】→←苺 【🖋️】

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