虹色の花束を捧げる

苺 【🖋️】 ページ28

ぐふっ、と思わず声が出る。

なんだ、と重さを感じるお腹の上に視線を向けると
つい先日５歳になった娘。


『ぱぱ！おはよぉ！』

『んん...おはよぉ、だねぇ』


パパのこと起こしてどうしたの？と聞くと、
ママに起こしてきてって言われた！と教えてくれる。


『じゃあ一緒にママのところ行こっか？』

『うんっ！』


ぱぱ、抱っこ、とねだる娘に勝てるわけもなく、
しょうがないなぁ...とおんぶする。

とん、とん、と１段ずつ丁寧に階段を降りると、
ふわりと漂ってくる美味しそうな匂い。


「...あれ？すちくん？」

『A、おはよぉ』

「うん、おはよう」


朝ご飯できたから一緒に食べよ？と炊飯器から
湯気の立つほかほかの白米をお茶碗によそっている。


『お味噌汁とかもう持って行っちゃっていい？』

「え、持って行ってくれるの？」

『もちろん、任せてぇ』


助かるー、ありがと、と次はお茶を注ぎ始めたA。


『椅子に下ろすけどまだ食べちゃだめだからね？』

『はーい！』


背中に向けて言い、元気よく返事をしたのを聞いてから
ゆっくりとダイニングチェアに娘を下ろす。


「すちくん、いっつもお手伝いありがとうね」

『Aがいっつも家事してくれてるんだから
　俺が手伝える部分は手伝いたいからね』

「でもすちくんの方が家事全般上手じゃない？
　私がしてて文句とかないの？」


うーん、と今までのAの家事姿を思い出す。

洗濯物が風に飛ばされてわぁっ！って
みこちゃんみたいな声出して追いかけてたり、
すちくん、失敗しちゃった...、って焦げたお料理見せて
こさめちゃんみたいにしょぼんとしてたり。

思い出す姿どれも可愛いなぁ...と和んでしまう。


「ねぇすちくん！」


なんでそんなに笑ってるの？と顔を覗き込まれる。


『んー...内緒ー』


ちょーっとだけからかってから
お味噌汁を持ってダイニングに向かう。

後ろからちょっとー！と追いかけてくるA。
前にはきらきらした目でご飯を見つめる娘。

可愛い、愛しい。
そんな２人から貰える幸せが、
いつまでもいつまでも続くように。


『俺、がんばるからね』


掴んだ幸せが離れていかないように。





＿＿＿＿＿花言葉＿＿＿＿＿
　
苺 幸福な家庭
　

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