虹色の花束を捧げる

青デルフィニウム 【🌸】 ページ24

仕事が、会議が押してしまって、
約束してたのに行けなくて。

会議中にスマホいじるわけにもいかなくて、
多分、ずっとAの優しさに甘えてた。

何も言わなくても理解してくれてるって思ってた。

会議室に鳴り響くコール音。
ポケットに入れているスマホが響いて俺だと分かる。

すみません、と断りを入れて廊下に出てから
スマホの着信を取っても声が聞こえなくて。


『...もしもし』


少しの沈黙。
名前も見ずに取ったから一体誰か、と
スマホを耳から話そうとした直後


「...ねぇらんくん、私達別れよ」

『...は』


A、と認識したと同時に飛び込んできた言葉に
なんで、さえも出ないくらい驚いてしまって。


「...じゃあね、」

『ちょ、待って！』


そんな言葉虚しく、そのままぷつりと電話が切れる。
何度掛け直しても繋がらない電話。

居るかも分からないのに、冷静な判断を下せない頭は
追いかけなきゃ、と黄色信号を鳴らす。

荷物も会議のことも考えず、スマホ片手に会社を出る。

とりあえず待ち合わせ場所まで行かないと、と
走ると、目印の大きな時計が見えてくる。

時計の下。ぱっと目に入るA。


『Aっ！』


は、とAの顔が上がる。
ぎゅ、と掴んだ手首は振り払われることはなくて。


『ねぇ、なんで別れるなんて言うの』


下を向きながらきょろきょろと視線を移動させて
喋るのを躊躇っているのがわかる。


「...らんくん、最近仕事ばっかで、」


私以外に好きな人いるんだ、とか考えたら
そう考えちゃう私も、待てない私も嫌で、
こんな私、らんくんに似合わない、から。

でも、別れたくない...

小さな声だけども耳に入ってくる声。

俺が甘えてた、
俺がずっと我慢させてた、
俺が気付かないといけなかった。


『...ごめん』


俺が幸せにしたいから、まだ一緒にいて欲しい。


「...今からデートしてくれるなら許す」

『！...喜んで』


俺が活動者だから変わったデートかもしれないし
変わった恋愛かもしれない。

でも、それでも、Aが笑ってくれるなら。

俺が幸せにしたいって思った人だから。





＿＿＿＿＿花言葉＿＿＿＿＿
　
青デルフィニウム あなたを幸せにします
　




＿＿＿＿＿ Special Thanks ＿＿＿＿＿

リクエスト者 ひ 様
　

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