虹色の花束を捧げる

赤ゼラニウム 【🎮】 ページ3

「なつくんのばか！」
　
『そもそもお前が余計なこと言ってきたんだろ！』
　
「余計ってなんなの！
　私はなつくんが心配だから...！」
　
『それが余計だっつてんだろ！』
　
　
もういい！好きなだけやっとけば！と言って
スマホだけ持って家から飛び出していくA。
　
連日夜遅くまでまともに飯も取らず作業していて
それを心配してくれたAが声をかけてくれた。
　
　
『あんなこと言いたかったんじゃねえのに...』
　
　
残っている大量の作業でいらいらしていて
優しい言葉を思い切り突っぱねてしまった罪悪感。
　
今追いかけてもきっとAが嫌がる、と思って
自分も頭を冷やそうと部屋に戻った。
　
　
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　
　
作業をしながら帰りを待っているも、
帰ってこずにもう３時間が経った。
　
　
『...もう２２時だし』
　
　
こんな時間に１人でいるのは流石に心配で
スマホと上着と財布を持って家を出る。
　
いくら夏の終わり際とはいえ、夜は冷え込む。
　
　
『早く見つけねえと風邪引くぞ...』
　
　
ただ手がかりがない。
まったくと言っていいほどない。
　
どうするか、と考えているとこさめから着信。
　
　
『もしもしなつくん？
　さっきAちゃんから泣きつかれたんだけど』
　
『すまん、Aの居場所知ってるか』
　
『もー、なつくん、忙しないなぁ...
　公園、いるらしいけど』
　
　
ほんとに大事にしたい子の手、離しちゃだめだよ
と最後の忠告。
　
　
『...さんきゅーな』
　
　
それに答えられないのはきっと俺の心が弱いから。
　
　
『それでも...離したくないから...』

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