虹色の花束を捧げる

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「うわぁぁ...来ちゃった...」
　
　
周りをゆっくりと見渡して座席確認。
　
アイドルを推しながらアイドルしてるのは
我ながら面白いな、と思う。
　
らんくんみたいにファンサ上手いわけでも
歌が上手いわけでも、ダンスが上手いわけでもない。
　
けど、少しでもらんくんに、みんなに、
なにより自分に誇れる自分になりたかった。
　
　
「さ、行こっか」
　
　
ぐっ、とマイクを両手で握り、舞台袖に待機。
　
このために用意した衣装も、セトリも
全部全部、私の努力の結晶。
　
らんくんに、誰かの心に届けばいいな。
　
　
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　
　
トロッコに乗ってゆっくり観客の間を進んでいく。
ファンにたくさん喜んでもらえるように、
できる限りたくさん、みんなを見て手を振る。
　
すっと視線を移動させると珍しい男の人。
　
私のライブで男性なんて珍しい、と視線移動を止める。
　
　
...え、あの人
　
　
声には出していなかったと思う、
ちゃんと歌い続けていたと思う。
　
でも、あの男性、多分、いやきっと、らんくん...
なんで、という思いと嬉しい、という思い。
　
その後は歌にもダンスにも何にも集中出来ずに
いつの間にかライブが終わっていた。
　
　
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　
　
控室に戻るとさっきの出来事がぶわ、と蘇る。
　
なにか情報がないものか、とSNSをぐわーっと見ると
サブ垢の方でだいぶ前の１つだけ目に入るツイート。
　
　
『らいぶいってきたけどさいこうだった』
　
　
これ、私がライブした日...
　
ほんとに私なのかは分からない、
けどもし、らんくんの目に入っているのなら。
　
　
「そんなファンサないって...」
　
　
もう１歩、とどんどん沈んでいく身体。
きっともう、抜けられない沼。
　
あまい、あまい。
にがいなんて存在しない沼。
　
きっとこれでもう逃げられない。
　
　
　
　
　
＿＿＿＿＿花言葉＿＿＿＿＿
　
モモ 私はあなたのとりこ
　

サギソウ 【🖋️】→←モモ 【🌸】

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