驚きの出会い ページ3
萩原side
重たい防護服を脱いで親友に電話を掛けると容赦なくお説教が始まった。
陣平ちゃんたらそんなに俺の事心配〜?なんて茶化せばさらに怒ってしまう。
まぁ、タイマーも止まっているし後は解体するだけ……ん?
―ハギ、どうした
「んー、ちょっと物音がしたような…。」
―あ?一般人の避難は終わってんだろ?
「そうなんだけど【ガンッ!】…!やっぱり誰かいる!」
―はぁぁ!?
またかけ直す!と返事を待たずに電話を切って音が聞こえる方へと駆けだす。
人がいる部屋は声を掛けて避難させたし、応答が無かった部屋も寝ていても起きるというほどにチャイムを鳴らして扉もガンガン叩いて確認した。
それなのに、なんで人が残ってるの!?
音が聞こえる部屋の近くへ来ると【バキッ】という音が聞こえて、静かになった。
「誰かいますか!?」
扉の外から声を掛けるが反応はない。
不法侵入になるけど今はそんな事言っている場合ではないから仕方ない…。
ドアノブに手をかけ、扉を開ける。
「開いて……『ひっ…!』って、こ、こども!?」
声が聞こえて足元を見ると元は白かったであろう大人のTシャツを着た女の子が蹲っていた。
頭を必死に抑えている手も腕も、Tシャツの裾から見える足も酷くやせ細っている。
長く伸びた髪も艶を失い、ぼさぼさだった。
「だいじょ『やぁぁっ!』…っ、ごめんね?でもあんまり時間ないんだ。」
いくらタイマーが止まっているとはいえ、爆弾がそこにある事実は変わらない。
何かのきっかけで爆発する可能性も大いにあるのだ。
「お兄さんは警察なんだけど…警察ってわかるかなー?」
膝を折って出来る限りの優しい声で話しかける。
女の子はチラッとこちらを見て、また俯いたが小さくコクリと頷いてくれた。
「それでね、ここにいると危ないからお兄さんとお外に逃げてくれないかなー?」
本当は解体するまで爆弾から目を離すべきではないとは思うけど仕方ない。
女の子は少し考えてからまた小さくコクリと頷いた。
それからの行動はオレ史上一番の早さだったと思う。
痛々しい傷に響かないようにゆっくりと女の子を抱き上げて、爆弾近くに脱ぎ捨てた防護服の近くで女の子をこれまたゆっくりと下ろす。
爆弾から目を離すとなると何が起きるかわからないから、あの超重くて動きづらい防護服を着て逃げなければならない。
頭までしっかり装着しt【ピッ】嫌な音が廊下に響き渡った。
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作者名:おもち | 作成日時:2021年8月26日 21時