いっしょ ページ12
『いっしょに…?けんじくんと?』
呆けた顔で聞くと、ものすごくいい笑顔で頷かれた。
いや、あの普通は施設に保護されるのでは?
というかこの人には助けてもらったけど、さすがにそこまで面倒見てもらうのは申し訳ないよ!?
「オレと一緒に暮らすのはイヤ?」
『う、ううん、ぃやじゃない…けど…。』
研二くんはすっごく優しいし一緒にいて安心感がすごいからイヤなわけがない。
陣平くんも見た目は怖いけど、すっごく優しい人なのはこの一週間でたくさんわかった。
だから、この二人と一緒にこれからも過ごせるのなら…と考えてしまったこともある、もちろん。
『でも、けんじくんの、めいわくになる…から。わたし、なにもできなくて、けんじくんのこと、たすけてあげられない。』
だから、施設でも大丈夫。そう言おうとした…んだけど、それを言う前に額に軽い衝撃が。
……な、なに?
「ガキがいっちょ前に遠慮してんじゃねーよ。」
「陣平ちゃん、いくらなんでも子供にでこぴんはないでしょー!Aちゃん大丈夫?痛くない?」
額を押さえて陣平ちゃんを見るとニヤリと悪戯っ子のような笑みを浮かべている。
「お前が施設にどうしても行きたいっていうなら止めはしねーよ。」
どうすんだ?と目が問いかけてきている。
仮にも私5歳ですよ?
普通の5歳児がそんな意図を読み取れるとでも思ってるんです?
え、もしかして私が実は5歳じゃないってわかってる?わかってるの?
「Aちゃん。オレは君に命を助けられた。」
え?逆じゃないの?
私が助けられた記憶しかないんだけど!?
「あの時君がいなかったら、オレは防護服を着る事はなかった。」
な、なるほど?
「命の恩人の君の為ならオレはなんでもする。」
『で、でも…「それにね、オレはAちゃんの事大好きになっちゃったんだ〜。だからこれからも君と一緒に過ごしたいな〜って思ってるんだ。」……。』
「だから、オレからのお願い。」
オレの家族になってくれないかな?
優しい笑顔で、私の大好きな手を伸ばされた。
……ずるい、ずるいよ。
そんな顔で、そんなこと言われたら断れるわけない。
『めいわく、じゃない?』
「そんなわけないよ〜。」
『おてつだい、あんまり、できないよ?』
「オレと遊んでくれればそれでオッケー!」
『わたし、いいこじゃないy「Aちゃん。」…?』
「おいで。」
『……う、うん!』
私は広げられた両腕に、飛び込んだ。
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作者名:おもち | 作成日時:2021年8月26日 21時