37・予想外超え ページ37
ローの口から放たれた予想外の言葉にAはしばらく理解ができないでいた。
けれど、その言葉はなぜかストンとAの胸の中へと落ちてきた。
『あの人、ローのこと憎んでた」
「あァ」
『私もきっと、あの世で憎まれてる』
Aの言葉にローは口を閉ざす。
『私、ローより沢山の人を殺してるし生きるために食べてる。その度に思うよ。“人間だったら”って』
人間だったら無駄な殺しなどしなくていい。
人を食べなくても生きていける。
それが当たり前。
けれど喰種は人を殺し、その肉を食べなければ生きてはいけない。
『ローは、どう思う?』
突然の問い掛けにローはAの顔を見る。
その顔は、笑っているようでいてとても悲しそうに微笑んでいた。
『私はね、皆んなやローに認めて貰えて凄く嬉しかったの。喰種なんて所詮はバケモノで人とは分かり合えない存在だったから』
絶対に交わる事のない人間と喰種。
けれどそれは違った。
『街で、ローがあの人といるのを見て変な気持ちだった。それで気づいたの。私、ローの事が好きなんだなあって』
Aの告白にローは目を見開き、Aの顔を驚いたように見つめた。
『ベポやペンギンやシャチも皆んなの事も好きだけど、ローはなんかもっと違う好きなの。よく、分からないけど』
微笑みながらそう言ったA。
ローはふっと笑みをこぼすと、Aに歩み寄り頬に手を当てた。
ローらしくない行動だとAは思ったが、それでもただローを見つめた。
「初めて会った時から…お前には振り回されてばっかだ」
『そんな振り回してる?』
「気持ちの問題だ」
『それはお互い様だね』
どちらからともなく重なる唇。
時が止まったかのような静寂の後、2人はゆっくりと離れお互い顔を見合わせる。
「…お前みたいなアホに惚れるとはな」
『アホに惚れたローはどアホだよ』
「減らず口が」
『…本当に私でいいの?…バケモノなのに』
「愚問だな。おれにとっちゃ人間の方がよっぽどバケモノだがな」
そう言って笑うローは、再度Aの唇に自分の唇をあてた。
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イブ - 私は、ワンピースと東京喰種のどちらともはまっているので、もうめっちゃいい作品でした! (2019年7月14日 14時) (レス) id: ecc340d7eb (このIDを非表示/違反報告)
ナー(プロフ) - アリス・キーリングさん» ありがとうございます!ワンピ面白いですよね、本当に!!次回作も頑張ります…! (2018年10月21日 12時) (レス) id: a25e8ef1cd (このIDを非表示/違反報告)
ナー(プロフ) - 白ぴくみんさん» ありがとうございます!そうなんですね!コナン、面白くて…!!ご期待に添えれる様頑張ります! (2018年10月21日 12時) (レス) id: a25e8ef1cd (このIDを非表示/違反報告)
ナー(プロフ) - あやさん» ありがとうございます〜!!過去の作品も読んで下さっていたなんて…感激です!作者登録まで…(T ^ T)重ねてお礼申し上げます!!こんな作者ですがよろしくして下さいm(_ _)m (2018年10月21日 12時) (レス) id: a25e8ef1cd (このIDを非表示/違反報告)
アリス・キーリング(プロフ) - 完結おめでとうございます!ワンピ私もどハマり中です!次作楽しみです! (2018年10月21日 7時) (レス) id: f9dc96f517 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナー | 作成日時:2018年9月13日 19時