あのひとについて ページ3
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ひとめぼれした彼の名前は、いのおけい。
公園から歩いてすぐのところにある、優しそうなおばあさんがやってる本屋さんで働くいている。
店長のおばあさん以外の、唯一の店員さんにして、看板娘…ならぬ看板青年。
本屋さんで働いてるってありがちなパターンだから、生活費がほしい大学生かなーって思ってたら、
「おれ25だけど」
と言われて腰を抜かしかけた。
三つも年上。見た目からじゃ絶対想像つかない。
ぷにぷにのほっぺに、赤ちゃんみたいにぽってりした唇。目もとろんとしてて眠そうで、おまけに声もあっまあま。
10代って言われても、ふつうに信じちゃうよ。
毎週土曜日のお昼、いのおさんは公園に来る。お昼休みの時間らしい。
ごはんを食べて、余った時間を公園で過ごし、また本屋に帰る。
嬉しいことに、いのおさんは、その合間俺と会ってくれるようになった。
しゃべればしゃべるほど惹きこまれる人。
基本はまじめなのに、ちょいちょい不思議なこと言ってたり、自由気ままだったり。
しゃべってる内容は大人なのに、ときどこ子供っぽかったり。
よくわかんない人。
中性的できれいなのに、食い意地張ってて、意外と口も悪い。
でも、そういう人だから、惹かれるのかな。
口元に手をそえてほほ笑むとき。
すねてほっぺたをふくらませるとき。
ねこをなでながら視線をどこかへ流すとき。
ころころ変わる表情は、どれも写真におさめたいものばかり。
でも俺は、撮らせてくださいとは言えなかった。
面と向かってポーズを取ってもらうのは、なんていうか照れる。惚れすぎか。
かと言って、さりげないところを許可なく撮るのも非常識というか。
どうしよう。
隣にならんでおしゃべりできることはいいことのはずなのにな。
「ゆうと、ゆうとってば」
はたと我に返れば、いつものベンチで、ちょこんと座るいのおさんが、俺の服の裾をちょいちょい引っぱって、ほっぺに空気をためていた。
あぁ、これ。これがかわいい。
「すみません、なんですか?」
「…寒いの?」
しなやかな指の先には、かくかく振動する俺の左足。
貧乏ゆすりしちゃってたのか。寒いって、このこと。
伊野尾さんは両手でにぎりしめていたコンビニ肉まんを丁寧にちぎって、
「ゆうとも食べる?」
……天使、天使がいるぅ…!!!
(身も心もほっかほかにしてくれます)
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もち(プロフ) - ふぶきさん» コメントありがとうございます! ゆっくりにはなるかと思いますが頑張りますので、どうかよろしくお願いします〜!!! (2016年6月10日 19時) (レス) id: 87f5427879 (このIDを非表示/違反報告)
ふぶき(プロフ) - このお話大好きです!更新頑張ってください〜楽しみにしてます( 'ω')! (2016年6月9日 6時) (レス) id: c53fae0730 (このIDを非表示/違反報告)
もち(プロフ) - 夏夢さん» 短編に続いて読んでくださりありがとうございます〜! 鈍足ではありますが、楽しみに待っていてくださると嬉しいです〜 (2016年5月29日 15時) (レス) id: 87f5427879 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - こちらにもお邪魔します…続き嬉しい!お預けされても嬉しいんだなぁゆーてぃ(笑)二人のこれから…楽しみにお待ちしています。 (2016年5月24日 21時) (携帯から) (レス) id: fe06c27cc1 (このIDを非表示/違反報告)
もち(プロフ) - ちゃおちゃんさん» コメントありがとうございます! ゆといのです、楽しみに待っててくださいね〜!!! (2016年5月24日 20時) (レス) id: 87f5427879 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もち | 作成日時:2016年5月8日 11時