ワールドトリガー【短・中編集】 (ページ38)

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いつものようにヒュースの部屋のベッドに並んで座り、お話しする。

私はヒュースと仲は良いが、

「ヒュースはさ、帰りたかったんだね」

「…！！なんでAが知っている」

まだ知らないことがたくさんある。
それが嫌で、ヒュースのことを全て知りたいと思ってしまう。

「エネドラッドから！近いうちにまたどこの国かはわからないけど、近界民(ネイバー)が攻めてくるってさ」

今日聞いた情報をヒュースに隠すことなく伝えると

「情報には感謝するが、俺に伝えていいものなのか？」

真面目な疑問が返ってくる。

私の情報は逃げ道を伝えているようなものであり、情報を引き出すための捕虜として扱っているボーダー本部の意向とは真逆のものだからだ。

「アフトクラトルにいる、ヒュースの家族が危ないんでしょ？」

「血は繋がっていないがな」

「家族に血の繋がりなんて関係ないよ。

私にとっては玉狛のみんなが家族だしね！」

そう笑顔で言うと、ヒュースも少し口角を上げて「そうだな」と呟いた。

「Aを産んだ両親は今どこにいるんだ？」

ヒュースの純粋な質問に少し悩みつつも、

「んー、天国かな。4年前、近界民(ネイバー)に殺されたの。」

私のことも知ってほしくて本当のことを伝える。

するとヒュースは一瞬だけ目を開き、悲しそうな表情で、

「近界民(ネイバー)は嫌いか…？」

私に問いかける。

「…うん。でもそれは親を殺した近界民(ネイバー)だけ」

そう答えるとヒュースは、分かりやすく安堵の表情を浮かべていた。

子どもみたいにコロコロと変わる表情に愛しさを感じつつも、「もう少し話してもいい…？」とヒュースの承諾を得てから話を続けた。