ワールドトリガー【短・中編集】 (ページ34)

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「うわ、また来た。」

強化聴覚の副作用(サイドエフェクト)を持つ菊地原がそう呟くと、風間はため息を吐(つ)く。

すると反対の廊下から、

「風間さーーーーんっ！！！」

と叫びながら走ってくる女の子が1人。そしてそのまま彼女は風間に抱きつく。

「見つけた！やったぁ～！」

「おい、A。離れろ」

「嫌でーす！！」

そう抱きつく力を強めるが風間によって剥がされる。

「風間さんのケチ～」

「俺はケチではない」

「ほんと、Aは風間さんが好きだな」

歌川が笑いながら言った時、Aはすぐに歌川に寄っていく。

「好きじゃなくて大好きです！！」

「そうだな、悪かったよ」

後輩のアホらしい訂正にも優しく対応する歌川。そんな2人のやりとりを見て、風間はやれやれと言った様子だったが、すぐに切り替え歩き出した。

「歌川、菊地原、行くぞ」

「了解です」

「はーい」

風間に続き、歌川、菊地原も歩き出した。

「寂しいぃ～～」

そうAが嘆くのを無視して。

-現場-

防衛任務についてからも、話題はAの話で持ち切りだった。

「どうせ、風間さんが終わるまで待ってるでしょ」

「間違いなくそうっすね」

「ったく…毎回先に帰っていいと言ってるんだがな」

「じゃあ風間さんが先帰っちゃえばいいじゃないですか」

「お前、そういうこと言うか？」

「…菊地原の言う通りだな。でも、そう出来ないということは、俺もAと帰りたいと思っているのかもな。」

風間の言葉に、菊地原と歌川はお互い驚いた表情で顔を見合わせた。

一方その頃のAは、スマホで何かを調べてから、放心状態だった。