ワールドトリガー【短・中編集】 (ページ24)

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"おはよ、A"

不意な呼び捨てと大好きな笑顔にどんどん心拍数が上がる。

「お、おはよう。澄晴くん」

必死に返事をしたAに対し、犬飼はあはははと笑って「顔真っ赤！かわい～」と茶化した。Aは恥ずかしさと揶揄われた悔しさで頬を膨らます。

「それで怒ってるの？」と犬飼は再び笑ってAの隣の席に座る。

「ていうか、Aさん！なんでおれの席知ってんのー。言ったっけ？」

(わ、私の隣の席が…！？)

犬飼の一言に驚きが隠せないまま、「ここ…私の席だった…」なんとか言葉を発する。

「うそ、…じゃないよね～」

「澄晴くんとは違うからね」

「あはは、それはひどい！」

「でも嬉しい、今本当に高校の頃の教室と席で澄晴くんの隣にいられてるもん」

赤い頬を隠すために頬杖をつき、少しだけ隣に視線を向けるA。

「これが毎日だったら良かったのになぁ…」

続けてそう言うと犬飼は机に突っ伏した。

「おれはAさんと毎日隣は無理だなー」

「そ、そうだよ…

「ドキドキしすぎて心臓もたないかな、おれ」

………えっ…？」

思わず顔を横に向けると、耳まで真っ赤にした犬飼と目が合う。

「そんなみないでよ」

「なんか新鮮で…さ。澄晴くんいつも余裕あるんだもん」

Aがそう言うと、犬飼は起き上がりいつもの表情で隣のAに顔を近づける。

「そう見せてるからね。内心バクバクだったりして」

「それにしては近くない…？」

「だって近くで見せてあげるって言ったじゃ～ん。それに…」

犬飼はAの机に手を付き、さらに顔を近づけていく。Aは驚いて固まっていると唇に柔らかい感触を感じた。

(えっ…？)

「キスできないじゃん」

この先も2人はずっととなり同士。