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徳川くんが教室にいることになんだか慣れそうにもなかった。一人だけ明らかに空気が違うまるでこの世の全て支配しようとしているかのような風格に違和感を覚えるからだ。
「家康、次は誰を狙うつもりだ。」
「順当にいけば秀吉じゃないかなあ。」
「え!?」
黒田くんの読みにクラスの殆どが納得した。徳川くんは何も言う気はないらしい。すると、松葉杖をついた武田くんが教室へと入ってきた。みやびちゃんの声がけに返事はなかった。相当弱っているのだろう、身体ではなく心が。
「まだ生きていたのか。」
「あの武田が……まじか……。」
「早くも高校ライフしゅ〜りょ〜、なむ〜。」
この空気でいつも通りな井伊くんたちが逆に微笑ましく思えてくる。
「おいゴミ。」
徳川くんが席を立ち、武田くんの机から風林火山と書かれた旗を取り出すと彼に差し出して言う
「磨け。」
と。この人はどこまで武田くんのプライドをズタズタにする気なのだろう。流石に集中砲火しすぎだと思う。動かない武田くんに徳川くんの表情がさらに険しくなる。火花散る中、徳川くんの靴を磨き始めたのは明智くんだった。
「家康くん、僕が綺麗にするよ。僕、強い人に憧れてて家康くんと友達になれたらなあって。」
そう言って磨く手を辞めない明智くんだが、徳川くんが蹴りを入れ飛ばされてしまった。
「ゴミの分際で下品な笑顔を浮かべよって。」
「ご、ごめんなさい。」
彼の謝罪が終わると徳川くんは自席に戻った。これは助けたと言って良いのだろうか、それとも井伊くんが言う様に媚びを売ったのだろうか。そう考えている間に武田くんが教室を出ていった。その後織田くんも教室を出ていったが、彼の後を追ったのだろうか。旗印戦に興味無さげな織田くんはなんだかんだ皆を助けているし優しい人なのだと思う。何を考えているかはいまいち分からないけど。
「Aちゃん、デート行かへん?」
「ごめん、無理。」
「すまんな、秀吉。Aちゃんは今日、僕とデートなんだ。」
「上杉くん?事をややこしくしないで?どちらともデートはしないし、今日は稽古があるから寄り道もできない。以上、さようなら!」
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もちゃ(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます。こだわってるところ褒めていただけて光栄です。楽しみにしてくださってることも嬉しいです、ありがとうございます。 (2022年9月9日 3時) (レス) id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます。お返事遅くなってしまい申し訳ございません。好きと言っていただけて嬉しいです。応援もありがとうございます、頑張ります。 (2022年9月9日 3時) (レス) @page22 id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
みー - このお話の2人の距離感が私も好きです!これからも楽しみにしています! (2022年9月5日 10時) (レス) id: ef372782cb (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 面白くて好きです!更新頑張ってください! (2022年8月16日 23時) (レス) @page19 id: 2a8d4606f0 (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ(プロフ) - moka、さん» コメントありがとうございます。試行錯誤しながらですが最初のうちは近すぎず遠すぎずを目指しているのでそんな2人の距離感を好きって言ってもらえて嬉しいです。感想、お気遣い、ありがとうございます。 (2022年8月11日 2時) (レス) id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちゃ | 作成日時:2022年7月29日 15時