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一期一振は私にとって何よりも誰よりも大切な人物だ。
『私の事などいくら疑っても構いません。
ここに来たのも、父が亡くなった際に現世に戻っていたのもタイミングが良いですものね。
…ただ、一期を疑うのは間違っています。』
自分で話していて泣きそうになるのがカッコ悪く一度言葉を区切った。
堪えようとしても涙腺が潤っていくのを感じて悔しくなる。
見渡す顔はやはり様々。
苦々しく私を見る人の隣で三日月宗近、三日月さんだけは、ゆったりと微笑みを称えたまま視線がかち合った。
胸がざわざわとうるさい。
あのあまりにも余裕そうな微笑みが、逆に追い風となる。
『…一期は最後まで私が審神者になることを反対していました。』
隣の一期は困った顔でこちらを見る。
私が疑われるのは構わない。
仕事仲間として長い間戦ってきた一期が疑われるのは納得がいかない。
『ここに父からの遺言書があります。
父は自ら望んで殺されることを選びました。
詳しくは書いてありませんが、病で苦しむよりも信頼のおける刃で終わらせてほしかったと私は解釈しています。』
私では信じてもらえぬと思い一期に渡せば、一度目を合わせてから声に出して皆に読み聞かせる。
Aと私の名前が記載されている所は「姫」と直し、皆に伝える。
名前は神隠しの必需品。
これまで父、母、一期が守り抜いてくれた大切なもの。
知っていながら他言しない三日月さん。
遺言書を読み終えると広間は泣き啜る声だけが響いた。
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ゆり(プロフ) - 読んで涙が溢れた小説は初めてです…一期、夢主ちゃん…永遠にお幸せに(号泣) (2019年1月19日 2時) (レス) id: 95c2b4a6d3 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - あぅ(´;ω;`) (2017年9月13日 20時) (レス) id: df7ea9579c (このIDを非表示/違反報告)
みんみ - うわぁ…ほんとおもしろかったです!最後は切なくなるような感じで…。素敵な作品をありがとうございました! (2017年5月14日 20時) (レス) id: 0e00e03de5 (このIDを非表示/違反報告)
氷菓 - 完結お疲れ様でした。大包平も手に入れてうらやましいです。 (2017年1月1日 11時) (レス) id: 715ff3149b (このIDを非表示/違反報告)
五十鈴 - 完結お疲れ様です!結構読むの楽しみにしてた小説なので完結となると少し寂しい気がしますね(笑)あと完結してから言うのもなんですが126話で小狐丸の名前が子狐丸になってますよ〜(´∀`* (2016年12月31日 13時) (レス) id: ac7f4ba26a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モカ | 作成日時:2016年8月23日 23時