検索窓
今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:29,645 hit

「ありおかくん」 ページ10

あ…。

昼休み。職員室からの帰りに先輩の後ろ姿を見つけた。髪の色にスカートの長さに、あんな格好は先輩だけだからすぐわかる。俺の前、10メートルくらい先を歩いてる先輩。後をついていくつもりはないんだけど、ここは廊下で渡り廊下も階段もまだ先にしかないから仕方ない。


山田が弁当を食べないで待ってくれてるはずだから走って戻ればいいんだけど、それをする気にはならなかった。だって、見ていたい。先輩のこと。

時々、立ち止まる先輩。どうやら荷物を持っているらしく、立ち止まっては抱え直してるっぽい。その度に縮まる、俺と先輩との距離。高まる胸のドキドキ。振り向かれたら、どうしよう。





「あっ」


先輩の声とともに、バサバサバサっとノートが落ちた。抱え直したときにバランスを崩したっぽい。急いで先輩のもとに走って、ノートを拾うと文句を言ってる声が聞こえた。


「もー、バカ薮。……………あ、ありがと」


バカ薮って、薮っち先生?ノートに見えたのは、社会のワークだった。教科担任が同じってだけで、ただそれだけで何故か嬉しくなる。そして、ありがとと言いながらニッコリ笑う先輩…やっぱり可愛い。


「先輩、どこに運ぶんですか?俺、半分持ちます」

「え、ホント?助かるー」


結局、先輩の分も全部持って、社会科準備室に向かった。先輩と並んで。先輩がいる右側だけに神経が集中しちゃってる気がする。


「ねぇ?」

「はいっ」


しまった。声が裏返った。チラッと先輩を伺うと、案の定クスクスと笑われている。


「名前なんての?」

「あ、ありおか…です」

「そ」




えぇぇぇぇ、それだけ?!



.

・→←その後、何回も…



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (33 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
96人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆー | 作成日時:2018年12月21日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。