高木先輩♀とありおかくん (ページ34)

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どこ行っても…おじさんにでも「おにいさーん」って声かけるから、こっそりオマケしてもらってる先輩。世渡り上手というか何というか。ここでも玉の数多いよね。

「これ、ありおかくんのね」

渡された皿を見ると、やっぱり先輩のより2個少ない。いや、いいんだけど。先輩と同じ数だけしたいとかじゃないんだけど。先輩にデレデレしてるおっさんを見るのは嫌だ。

「ありおかくん、こっち」

玉が当たっただけで落とせてないのに、ちゃっかり貰った景品のぬいぐるみをカゴバッグに付けて。「穴場があるの」と手を引いて連れてってくれたのは小さな小さな公園。すべり台とベンチしかない公園だった。

「けいと山田もここに来るはず」

待ち合わせしてるんだ。まぁ、そうだよな。ベンチに座った途端、パッと手を離された。人混みの中じゃないのに手を繋いでる必要はないんだけど。離された左手が寂しい。

ドーン…

「「あ…」」

伊野尾先輩と山田が来る前に花火が始まった。賑わってる会場から少し離れたこの公園から見える花火は少し小さかったけど、誰にも邪魔されず先輩と2人だけの空間で、今まで見たどれよりもきれいに見えた。
隣から聞こえた、「きれー」って先輩の声。隣を見ると、花火の明かりに照らされてて。とても綺麗だった。

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「あの………伊野尾先輩？」

「ダメ？」

「だ、だめってことは……」

「じゃあ、……ね？」

チュッ

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