高木先輩♀とありおかくん (ページ29)

今日:30 hit、昨日:2 hit、合計:29,672 hit

・ページ29

「お前、………カッコいいな」

「大ちゃんは、幼稚園児だね」

「うるせー」

先輩との待ち合わせ時間より早く山田と合流した、午後2時。「2時間も前なんてはえーよ」と言ってた山田だったけど、俺より先に来てたからね。嬉しくて、緊張して、落ち着かないのはお互いさまだ。

俺は山田と買いに行った甚平。山田は同じ時に買った浴衣。俺も浴衣にしようと思ったんだけどさ。着崩れしずに過ごす自信がなかった。着崩れた状態で先輩の隣に並ぶのはちょっと…。やっぱり好きな人にかっこ悪いところ見せたくないじゃん。そういう対象に見られてないとしても。

あ、でもなんで？

「なぁ、山田。なんで先輩一緒に行ってくれんだろ？」

「大ちゃん！伊野尾先輩まで誘ってくれてありがとう」

右手をギュウっと握られ大げさに感謝されて、俺の質問とは関係ない答えが返ってきた。きっと、山田の頭ん中は伊野尾先輩でいっぱいなんだろう。俺の頭ん中は高木先輩で埋め尽くされてるから、求めてた返事じゃなくてもツッコむ気はない。

「伊野尾先輩、何着てくるんだろ〜」

話しかけても無駄だな。そっとしておいてやろう。

.