話がしたいだけ ページ21
あれから山田がうるさい。休み時間になると俺の席にやってきて机にしがみつくように突っ伏して、ブツブツ言ってる。今も。
「大ちゃーん。あの先輩、なんて名前なんだろ…」
「大ちゃん…めっちゃ可愛かったんだけど！」
気持ちはわからんでもないけど。とにかくうるさい。あと、はじめに俺の名前を言う意味がわからん。うおっ。突然顔を上げて俺の手を握ってくる山田。な、、なに…。
「大ちゃん、高木先輩に聞いてみて」
マジか。
.
名前は覚えてもらえたけど、気軽に話しかけるなんてことできないよ…。
でも高木先輩と話したい。授業中見かけるんじゃなくて。偶然会って手を振られるんじゃなくて。ちゃんと。目の前で話がしたい。
来てしまった。北校舎のあの部屋。社会科準備室に居なくて。あとは、ここしか知らない。高木先輩のいそうな場所。どうしよう。中にいるのに鍵かかってたら。
ガラッ
「じゃーな。おっと…、」
手を伸ばしたら勝手に開いたドア。中から出てきた先輩と目があってしまった。ヤバイ。考える前に足が動いた。
はぁっ、はぁ、はぁ。逃げてきてしまった。中から出てきたってことは、あの先輩、高木先輩と……。
**********
「お前、1年坊主にも手だしたの？」
「1年生なんて、入ってきたばっかじゃん。まだだもん」
「まだってお前w その感じじゃ1年生相手するのも時間の問題だな」
「さあね？」
「じゃああいつ何しに来たんだ？」
「なぁに？」
「さっき、いたんだよ。1年坊主が」
.
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作者名：ゆー | 作成日時：2018年12月21日 21時
