2BRO短編集 (ページ2)

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交わらない線(兄者) ページ2

(ごめん兄者、ちょっと遅れそう！)

そう弟者から連絡が入って一時間経ったが、あの愚弟はまだ来ない。

今日は、俺と弟者、それと弟者の彼女のAの誕生日祝いという事で飲み。
気まずくね？なんて思うかもしれないが知り合ってもう二年、今更気まずいなんてものはない。

「弟者さんおーそいですねー」

兄「お前飲みすぎ」

愚弟は来ねぇし、Aはもう酔っ払ってるしでもう意味がわからない。
とりあえず俺もビールを飲む。

「兄者さんはー好きな人いないんですかー？」

兄「好きな奴？いるよ」

「えーーいるんですかー！」

兄「いちゃ悪いのかよ(笑)」

「そんなそんなー！兄者さんがどんな人を好きになるのかなーーって」

兄「どんな……馬鹿だな。後無駄にテンション高い」

目の前で俺の話を楽しそうな顔で聞いている。

「告白しないんですかー？」

兄「あ？あー…まぁな。そいつと俺は交わらねぇんだよ」

「交わらないー？」

兄「おう。二本の線があるだろ。そいつと俺はお互い知ってんのに、交わらずにすっと進むだけ」

横に立てかけてあった紙ナプキンにアンケート用のペンですっと線を引く。
いくら進んでも交わる事の無い二本の線。
俺もさっさと諦めりゃいいのに、考えとは反対に心が離れようとしないんだから厄介だよなぁ。

そう思いながら残り少ないジョッキに手を伸ばすと、携帯から通知音が鳴った。

兄「おい、弟者もう来るってよ。誕生日はまた祝ってやるから、お前もう弟者に連れて帰ってもらえ」

さっきから上下に揺れるこいつに何を言っても聞こえてないだろう。
恐らく、さっきの話も。
とりあえず肩を貸して店の外に出れば、タイミングよく走ってくる弟者の姿があった。

弟「まじでごめん兄者！あー、A寝ちゃったか…」

兄「ったくよ、また改めて祝ってやれよ。
俺抜きでな」

弟「分かった分かった！ほんとごめんな兄者！」

馬鹿で無駄にテンション高くて。
俺の方が先に出会ったっていうのに、俺の方がお前を先に好きになったっていうのにな。

兄「お前だよ、ばーか」

このまま、お前と交わらねぇように進んでやるよ。